精液検査で判断する乏精子症・精子無力症とは？

精液検査を行うことで様々なデータが出てきますが、その結果、医師から言われる症状として、乏精子症、精子無力症と言ったものがあります。
これは、具体的にどういったものなのでしょうか？

精液検査の結果については、WHOから発表されている「基準値」というものがあります。
「この基準を下回ると妊娠が難しい」という指標です。

これに基づいて、医師からの診断がある場合がほとんどのようです。
ただ、この基準値が、ネット上に2種類あるので注意して下さい。
WHOは1999年に精液検査結果の基準値を発表しているのですが、2010年になって新たな基準値を発表しています。

クリニックによって、古いものをそのまま使用しているところもあれば、2010年の新しいものを使用しているところもあります。

以下が、その基準値です。

ただ、この基準値はあくまでもWHOの示した基準値で、日本人男性の場合はどうなっているのか？というのはわかっていません。

また、この基準値は、過去1年以内にパートナーが妊娠した男性の精液検査を後日行い、下から5%の方の数値を示したものだそうで、「上回ったから妊娠できる」と言ったものではないんです。

むしろ、下回ったら妊娠が難しいと捉えて、早目、早目に行動していくための指標ととらえた方が良いかもしれませんね。

また、精液検査の結果と言うのは、その日の体調によっても大きく変わるので、一回の検査結果で落ち込まずに、複数回受けてから色々と判断すべきものです。

ちなみに、日本生殖学会のホームページによると精液検査の結果に影響するものとして、
　年齢、喫煙、糖尿病、肥満、アルコール
などを上げています。

病気云々と言うことの前に、まずは日常生活の見直しから・・・という発想が大切なようです。

また、禁欲期間が５日以上になると精子運動率が低下すると言われていて、精液検査をする時に、「禁欲期間は２日～３日に」と言われるケースが多いみたいですね。
もっともここは、医師によっても異なるようですが・・・。

乏精子症と言うのは、精子の数が正常よりも極端に少ない状態のことです。
精子の数が少なければ、受精するために卵管までたどり着ける精子の数も減ってしまいます。
そうなれば妊娠し辛くなってしまいますね。

乏精子症は程度によって、軽度・中等度・重症度に分けて説明されることが多いようです。

精子無力症というは、精子の運動率が低下した状態のことです。
運動率と言う言葉がちょっとわかりづらいのですが、これは、「精子全体の何％が動いているか？」ということです。

精子は自分で動いて、膣から子宮、卵管へと向かわなければ受精できませんから、「動いている精子が少ない」となれば妊娠できる確率が下がってしまうわけです。

正常な精子では、だいたい70～80％以上が運動しているんですが、運動率が40％以下だと、精子無力症と判断されるようです。
精子無力症も軽度・中等度・重症度と分けられます。

乏精子症や精子無力症など、精液検査の結果に異常が出てしまう原因については、色々な場合があって特定が難しいケースもあるようです。

ただ、可能性として挙げられるのは、
・精索静脈瘤
・おたふく風邪による精巣炎
・停留精巣（幼児期に精巣が陰嚢内に降りてこなかった場合に、造精機能に障害が出ること）
・ホルモン分泌異常（LH、FSH）
・染色体異常
・喫煙
などですね。

特に、喫煙と精索静脈瘤については、男性不妊治療を受けるている夫のうち、かなりの人に該当するようですから注意して下さい。
喫煙については「妊活中は男性も禁煙！」、精索静脈瘤については「精索静脈瘤は精子を劣化させる」を読んで下さい。

軽度の場合には人工授精、中等度の場合は体外受精、重症度の場合は顕微授精に進むことが多いようですが、漢方やクロフェルミン製剤などの排卵誘発剤を使いながら自然妊娠を試みるケースもあります。

医師によって考え方はそれぞれのようですね。