OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の症状と治療法

排卵誘発剤を使用した不妊治療をしていると、お腹が腫れてくる症状が出ることがあります。
これはOHSS、日本語で卵巣過剰刺激症候群と言うもので、重症化すると、入院の必要が出てきます。
OHSSの症状は重症化すると大変なので、ある程度の知識を持って、医師に相談するのが良いと思います。
OHSSが発症する原因は?
OHSSが発症する原因となるのは、排卵誘発剤の中でもhMG製剤と呼ばれる注射タイプの排卵誘発剤です。
このhMG製剤を使用した後に、hCGと呼ばれる排卵促進剤を注射すると、OHSSが発症することが多いようですね。
クロミッドが原因のOHSSもまれにあるようです。
OHSSの症状は?
排卵誘発剤によって、卵巣内では、多くの卵胞が育つのですが、それによって卵巣が大きく膨らみます。
そうなると、卵巣表面の血管から水分があふれ出して、お腹の中に腹水としてたまってしまいます。
お腹に水がたまりますから、お腹がパンパンになって苦しくなりますし、進行すると胸水と言って、肺の当たりにも水が溜まることがあるようです。
ただ、卵巣が多少腫れたり、多少腹水がたまる程度であれば、次の月経が来た時に治る程度のもので、特に入院の必要はありません。
問題なのは、血液から水分が奪われること血液が濃縮してしまう・・・つまり血液がドロドロになってしまい、腎不全になったり、血管に血栓が出来てしまったりすることなんです。
血栓ができると言うことは、血管が詰まるわけで、脳梗塞や心筋梗塞にもなりかねません。
腹水はいつまで続くの?
もし、OHSSになってしまったら、症状はいつまで続くのでしょうか?
実は、次の月経がくると、急激に良くなってしまいます。
万が一妊娠していた場合は、さらに2〜3週間は、現状が続いてしまう可能性があるようです。
多嚢胞性卵巣症候群の人はOHSSになりやすい
OHSSになりやすいのが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人です。
排卵誘発剤によって、卵巣内にたくさん卵胞が出来て、卵巣が腫れやすいようです。
多嚢胞性卵巣症候群になったことがある人で、転院をしている人は、排卵誘発剤を使用する前に、医師にしっかりと伝えておく必要があります。
※多嚢胞性卵巣症候群についての詳細はコチラを参照して下さい。
OHSSの治療方法は?
OHSSの治療では、排卵誘発剤の使用を中止し、経過観察をすることになります。
また重症の場合は、入院をして水分管理と塩分制限を行うこともあるようです。
もちろんその周期では、胚移植は中止です。
OHSSになりやすい人の体外受精では、採卵周期では胚移植せずに胚凍結
前にも書いたように、OHSSは、重症化していなければ、生理が来て治ってしまう程度の症状です。
ところが、妊娠すると、OHSSは重症化します。
そのため、OHSSになりやすい人は、体外受精時、採卵周期(採卵を行った生理周期)には胚移植(受精卵を母体に戻すこと)をしません。
排卵誘発剤を使って卵胞を育てて採卵し、受精した後に、胚を凍結します。
そして、母体の状態が良くなってから、凍結胚を融解して胚移植します。
こうすることで、妊娠によるOHSSの悪化を防ぐことができます。
OHSSの予防はどうする?
OHSSの予防をするためにクリニックがしてくれること
ただ、排卵誘発剤を用いる以上、100%防ぐということは難しいです。
そのため、不妊治療クリニックのいくつかでは、OHSS予防のために、ロング法やショート法を行わず、アンタゴニスト法を用いているところもあります。
また、卵巣を刺激する薬の種類、量、タイミングなどを調整することで、医師はOHSSの発症・重症化を予防する努力をしてくれます。
OHSSの重症化を予防するために
排卵誘発剤を使用した後に体の不調があったら、すぐに医師に連絡することはとても大切。
これが、私たちがOHSSの重症化を回避できるベストな方法です。
以下のような症状が出たら、すぐに医師に連絡をした方が良いです。
- 腹部の激痛が辛い
- 呼吸が苦しい
- 手がしびれる
- 頭痛がする
- 体重が1日で1kg以上増えた
- 尿量が出なくなった
多嚢胞性卵巣症候群の予防・改善で、OHSSのリスクを減らす

もうひとつ、多嚢胞性卵巣症候群の予防・改善という方法で、OHSSのリスクを減らすことも出来ます。
ベジママという葉酸サプリには、ピニトールと言う成分が含まれていて、多嚢胞性卵巣症候群の予防・改善効果があるのです。
多嚢胞性卵巣症候群の人はOHSSになりやすいですから、こういったサプリを飲むことで、日頃からOHSSにならないようにケアしておくことも大切かもしれませんね。
興味のある人は、次の記事を読んでみて下さい。
OHSSには健康保険が適用されるケースも!傷病手当金についても調べて
卵巣過剰刺激症候群になった場合、医師からは治療行為を受けることになるため、医療費・入院費に健康保険が適用できるケースが多いです。
この場合、「傷病手当金」の支給対象になる場合があるので、可能なら申請しましょう。
傷病手当金は、治療が必要になって入院し、会社を長期間休まざるを得なくなった場合に、入院後4日目から日給の2/3が支給されるというもの。
OHSSでの治療・入院に健康保険が適用されていれば、医師の診断書をもらって申請できますので、必ず在住の地方自治体に問い合わせてくださいね。
医療保険を確認しておく
先ほども書いたように、OHSSには健康保険が適用されることが多いです。
そのため、民間の医療保険に入っていると、多嚢胞性卵巣症候群での入院が給付対象になることが多いようですね。
日額5,000円とか10,000円に入院日数をかけた金額が給付されるので、結構助かります。
申請しないと給付されないので、注意して下さいね!
ただ、不妊治療を受けていると補償内容に制限が出てくる医療保険もあります。
医療保険は、妊娠後に卵巣過剰刺激症候群が悪化した場合や、出産時のトラブル(帝王切開など)でも使えることが多いので、妊活中に見直しておいた方が良いです。
妊娠後だと、補償内容に制限が付いたり、加入できなかったりする保険がほとんどなので。
妊活中に医療保険を見直した方が良い理由については、次の記事に書いてあります。
よかったら、参考にしてください。
タグ:不妊治療のリスク