排卵誘発剤には、飲み薬と注射があって使い分ける
話が出た時に何のことか大体の想像がついていると、医師とのコミュニケーションがスムーズになるので、この記事では、排卵誘発剤の名前や特徴についてまとめていきます。
排卵誘発剤は、飲み薬は効果がソフト、注射は効き目が強い
排卵誘発剤の飲み薬は、「卵子を育てるように」脳に働きかける薬です。これに対して、排卵誘発剤の注射は、卵巣に直接働きかけて卵子を育てるというものです。
「飲み薬」の排卵誘発剤は、卵胞が育っていないと脳の視床下部に錯覚を起こさせることで、視床下部に「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)」の分泌を促すものです。それによって、卵巣は卵胞を育てようとして、卵胞が大きくなっていくわけです。注射に比べて、効果がソフトだけれども、副作用が少なくなります。
一方で、「注射」の排卵誘発剤は、卵巣に直接働きかけて卵胞を育てます。そうなると、効果は強力なのですが、その分副作用も強く出ます。
具体的な副作用は、この後で触れていきます。
飲み薬の排卵誘発剤の種類について詳しく
飲み薬の排卵誘発剤の、利点について書くと、
- 効き目が緩やか
- 通院必要ない
- 多胎妊娠率が低い
- 副作用が少ない
といった良い面がありますね。
ただ、副作用が少ないとは言っても、以下のような副作用はあります。
- 頭痛、目のかすみ、吐き気
- 頸管粘液が減る
- 子宮内膜が薄くなる
排卵誘発剤で排卵する確率が増えても、頸管粘液が減れば精子が子宮にたどり着きにくくなり、子宮内膜が薄くなれば受精卵が着床しにくくなります。
このあたりは、実際に、不妊治療で排卵誘発剤を処方した後で、医師が経過観察をして、状況説明と治療方法の提案がされていきますので、診察時にしっかりと聞いてください。
飲み薬の排卵誘発剤の種類について
飲み薬の排卵誘発剤には大きく分けて2種類あります。一つは、クロミフェン製剤、もう一つはシクロフェニル製剤です。
一般的にはクロフェミン製剤が使われることが多いのですが、シクロフェニル製剤の方が低刺激です。それで、クロミフェン製剤を使ってみたものの、頸管粘液が減ってしまった場合など副作用が出た場合には、排卵誘発剤をシクロフェニル製剤に変えることがあります。
クロミフェン製剤には「クロミッド」「セロフェン」「フェミロン」という製品があって、おそらく、最も一般的に使われているのが「クロミッド」になると思います。ちなみに、シクロフェニル製剤の製品名は「セキソビット」です。
注射の排卵誘発剤について
ほとんどの不妊治療では、初めは、飲み薬タイプの排卵誘発剤の使用から始めるようですが、それでも効果が無い場合は、より強い効果を期待できる「注射」の排卵誘発剤に切り替えていくようです。注射タイプは、卵巣に直接働きかけるので、効果が高い分、副作用が出る可能性も高くなります。
注射の排卵誘発剤の場合の利点は、
・排卵の確実性が増す
ということになります。
一方で副作用は、
- 嘔吐
- 筋肉痛
- OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こしやすい
- 多胎妊娠率が高くなる
といったことがあります。
排卵誘発剤の注射は、筋肉注射になるため、尻や肩に打ちますが、結果として筋肉痛になりやすいです。また、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こしやすいのもリスクのひとつ。多胎妊娠の確率が高くなるので、医師としっかりと相談しながら、治療を進めていく必要がありますね。
※OHSSについては、「OHSS(卵巣過剰刺激症候群)は、重症化がすると怖い」に詳しく書いています。
注射の排卵誘発剤の種類について
- hMG製剤・・・FSHとLHの両方のホルモンが含まれている
- FSH製剤・・・FSHのみ含まれていて、LHが含まれていない
という違いがあります。おそらく、実際の不妊治療では、医師から「hMG注射」という言葉が、この中では最も頻繁に話されると思います。