鉄分は妊娠には不可欠。隠れ貧血にも気を付けて!
鉄分が少ないと貧血になる・・・鉄分が人体にとってとても大切だっていうことは、こんなことがよく言われているので、何となくわかっていますよね。
でも実際に鉄分が妊活・妊娠とどう関係してくるのかとなると、わからないことが多くなります。この記事では妊活と鉄分について、鉄分が妊活にとって欠かせない理由と、鉄分の摂り方について書いていきたいと思います。
《鉄分が多く含まれる食材》
ヘム鉄 :レバー、牛肉、豚肉、鶏肉、砂肝、かつお、まぐろ、煮干し、さば、いわし
非ヘム鉄:あさり、ほたての貝柱、ほうれん草、小松菜、ひじき、切り干し大根
《鉄分が手軽に摂れるサプリメント》
女性は鉄分不足になっている人が多い
鉄分が不足すると、どんな症状が出るのか
女性は生理があるので、どうしても、鉄分が不足しがちになりますし、現に、貧血気味の人って多いと思います。鉄分が不足すると私たちの体には以下のような症状が出ます。
貧血、手足の冷え、頭痛、肩こり、疲れやすい、めまい、耳鳴り、立ちくらみ、息切れ
また、意外かもしれませんが、以下のような症状も、鉄分不足が原因と言われています。
肌荒れ、シミ、口の周りにできるニキビ、口内炎、抜け毛
毎日、どのくらいの鉄分を摂ると良いのか?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」を見ると、30~49歳の場合は男性7.5mg、女性10.5mgが必要とされていますね。
ただし、妊娠初期にはさらに2.5 mg、妊娠中後期には15㎎、授乳中には2.5mgが追加で必要とのことです。
妊活・妊娠で、鉄分不足になってはいけない理由
胎児に酸素・栄養が行き渡らなくなる
まず、基本として、鉄分は血液の材料になります。もうちょっと詳しく書くと、血液には赤血球という成分があって、この赤血球は体内で酸素を運ぶ働きをしています。
鉄分は、この赤血球を作るという働きをしているんです。ということは、鉄分が不足すると赤血球の働きが悪くなりますね。
そのために体が酸欠状態になり、胎児に酸素・栄養が行き渡らなくなる危険が出てきてしまうわけです。
子宮内膜が厚くならない可能性も・・・
それからもう一つ。鉄分は、実は、子宮の粘膜を作る材料に使われています。受精した後に受精卵は子宮内に着床しますが、その時の受精卵のベッドに当たる部分が子宮の粘膜。この粘膜を作っているのが鉄分なんです。
こんな風に、鉄分は、妊娠に絶対に必要な成分ですから、妊娠中は、胎児の分も含めて、通常の倍の鉄分が必要になると言われているんです。
鉄分不足と排卵障害のリスク
鉄分が不足してしまうと、どんなリスクがあるか、アメリカのハーバード大学の研究でこんなことがわかっています。
まず、排卵性の不妊症リスクが高くなり、健康的な胚(受精卵)の発育を妨げてしまう可能性があるということ。
そして、早産になってしまったり、低出生体重児(2500g未満)で産まれたりする可能性も高くなっていたそうです。
こうした状況は、鉄分を摂取することによって改善するということも発表されています。
また、鉄分のサプリメントを摂ることで、飲んでいる女性は飲んでいない女性に比べて、排卵障害による不妊症リスクが40%も低いんだそうです。
肉類をメインに鉄分を摂っていると、排卵障害による不妊リスクが高く、非ヘム鉄(植物性の鉄分)は、排卵障害に効果的という結果も出ています。
鉄分と黄体ホルモンの関係
基礎体温グラフがきちんと2層(高温期・低温期)に分かれているかどうか、という事にも鉄分は関係しています。
実は、鉄分は高温期に分泌される女性ホルモン(黄体ホルモン)の分泌に必要な栄養素なんです。
この、黄体ホルモンの分泌は、排卵後から生理前の高温期にとくに沢山出る時期になりますので、身体が妊娠に備えた準備をどんどんしていく時期にあたります。
この時期を黄体期ともいうのですが、黄体期に黄体ホルモンの分泌が不足してしまうと、子宮内膜が薄いままで厚くならない、体温が上がらない、という結果になり妊娠するのが難しくなってしまいます。
そうならない為にも、妊活中、鉄分はしっかり摂って、妊娠に向けた準備をしておきたいですね。
知っておきたい!鉄分の吸収率を上げるちょっとした工夫
鉄分の吸収率を上げるために
日本人が普段の食事で摂っているとされる鉄分は、植物性食品に含まれている「非へム鉄」の場合が多いです。
ですが、非ヘム鉄は吸収率が悪く、体内に取り込んだ際の吸収率は1~6%程だということがわかっているんですね。
では、吸収率をあげるにはどうしたらいいのか?
肉や魚などの動物性タンパク質や、ビタミンCを一緒に摂る事で吸収率をアップさせることが出来ます。
または、鉄分をサプリで飲むなら、相乗効果をあげる為、タンパク質やビタミンCなどの食事で摂るタイミングに合わせるのがオススメです。
鉄分の吸収率を下げてしまうNGな食事
では、一緒に摂ると吸収率が下がってしまうものはあるのでしょうか?
残念ながら、吸収率を下げてしまうものは身近なもので沢山あるんです。
牛乳やコーヒー、緑茶はカルシウムやタンニンが一緒になってしまうので、吸収を邪魔してしまうんですね。
また、ワインや炭酸飲料にも、鉄分の吸収を邪魔妨する成分が入っているので注意が必要です。
そして、飲み物だけでなく、食物繊維も多すぎると鉄分の吸収率が悪くなってしまいますので、さつまいもやゴボウ、きのこ類や海藻類などは摂り過ぎに注意しないといけません。
鉄分は貯めることが出来る!妊活中からしっかりと摂取しておこう
鉄分は、妊娠に備えて、体に貯めておくことが出来る!
ところで鉄分というのは、体内に貯めておくことが出来るんです。
だから、いざ妊娠してから慌てるのではなくて、妊活中からしっかりと摂り続けることが大切です。
鉄分は、動物性の食物から摂った方が良い
では、どんな食材から鉄分を摂っていったら良いのでしょうか?鉄分を含む食材は、動物性のものも植物性のものもあります。
結論から言うと、なるべく動物性の食材から鉄分を摂った方が良いです。何故かと言うと、動物性の食材に含まれる鉄分の方が、体内への吸収率が良いからです。
動物性の食材にはヘム鉄、植物性の食材には非ヘム鉄
鉄分には2種類あって、ヘム鉄と非ヘム鉄というのがあります。
ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも吸収率が5~10倍もあるので、鉄分を摂取するならヘム鉄の方が良いです。このヘム鉄を含むものが動物性の食材、非ヘム鉄を含むものが植物性の食材というわけです。
【ヘム鉄 】牛肉、豚肉、鶏肉、鶏レバー、カツオ、マグロ、サバ、イワシ、煮干しなど
【非ヘム鉄】ほうれん草、小松菜、大豆、豆腐、アサリ、ホタテ貝柱など
隠れ貧血に注意!フェリチンを調べる方法もある
妊活中は、鉄分不足による隠れ貧血に注意
隠れ貧血という言葉を聞いたことありますか?貧血の検査をしても異常が見つからないのに貧血の症状があることを、「隠れ貧血」という呼び方をする場合があるんです。
通常、貧血の検査というのは、血液検査をして血液中に含まれる「ヘモグロビン」という物質の量を測定します。ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割をしている成分で、鉄分によって作られます。だから、ヘモグロビンが少なければ、鉄分が不足していて体内に酸素が行き渡っていない=貧血ということがわかる・・・という検査です。
ところが、鉄分が不足していても、ヘモグロビンの値に変化が無いケースもあるんです。
隠れ貧血は、フェリチン値を調べないとわからない
そこで、フェリチンという物質が登場します。フェリチンというのはタンパク質のひとつで、実は、鉄分はフェリチンと結合した状態で肝臓に貯めてあるんです。この鉄分は体内に貯めておくことができるので、これがあれば、鉄分が不足することはなく、貧血にはならないわけです。
ところが、このフェチリン結合して体内に貯蔵している鉄分が不足していると、ヘモグロビン値には現れなくても、貧血の症状が出てしまいます。これは、通常の血液検査では現れない貧血なので、「隠れ貧血」と呼ばれているわけですね。
だから、鉄分不足かどうかというのは、本当は、フェリチン値も調べないとわからないわけです。
鉄分の過剰摂取に気をつけて
一方で、逆のケースもあります。自分で「鉄分が足りないのではないか?」と思いこんで鉄分を補給しているのに、実はフェリチンが十分にあって、体内に貯蔵されている鉄がたくさんあったとしたらどうなるでしょうか。
この場合は、余った鉄が、血管の壁や肝臓を傷つけ、動脈硬化や肝障害の原因になる可能性があるばかりでなく、活性酸素が増えて、卵子や精子を傷つける可能性もあります。
ですから、鉄分が不足しているかどうか?の判断は、必ず医師に相談して下さい。妊活には鉄分は不可欠なのですが、特に鉄分をサプリメントで補給する場合は、必ず医師に相談してから行うようにして下さいね。