卵巣機能の低下|早発LHサージや早期黄体化の原因に

35歳以上で妊活、不妊治療に取り組むとなると、卵巣機能の低下という問題を抱える可能性があります。卵巣機能は、人によっても大きく違うため、年齢だけで判断は出来ないのですが、それでも、高齢になるほど卵巣機能も衰えるのは仕方のないことです。卵巣機能はFSH(卵巣刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)をホルモン検査で測定することで把握できます。

排卵がおこるまでのホルモンの働き

排卵がおこるまでのホルモンの働きについて整理してみたいと思います。

妊娠せずに生理が来ると、脳は「卵巣を育てないと」と判断し、脳の視床下部から脳下垂体に対してGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を出して、脳下垂体からはFSH(卵巣刺激ホルモン)が分泌されます。FSHによって卵巣は卵胞を育て始めるのですが、この時に、卵巣からはエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されます。

卵胞が育つにつれて、卵巣から分泌されるエストロゲンの量は増えていき、その量がピークになると脳の視床下部は「卵胞が育ってきたな!」と理解します。

すると、脳の視床下部からは再びGnRHが分泌され、それを受けて脳下垂体からは、今度はLH(黄体化ホルモン)が大量に分泌され、卵巣に対して「排卵しなさい」という指令を出します。これを「LHサージ」というのですが、LHサージが起きると、卵巣は排卵をするわけです。

排卵後は、卵胞からプロゲステロン(黄体化ホルモン)が分泌され、「高温期」となり、子宮内膜が厚くなって受精卵の着床にそなえるわけです。

生理の周期に卵巣機能低下の兆候が見られる場合

ところが、卵巣機能が衰えると、上で書いたホルモンの連係プレーがうまく機能しなくなります。その兆候は生理の周期に現れるので、35歳以降で、以下のような症状がある場合は、検査するだけでも良いので、医師に診てもらった方が良いと思います。

卵巣機能低下のチェックをする検査はコチラ

まず、低温期が10日未満になってしまった場合。この場合は、本来卵胞が育つのに必要な時間が経たないうちに排卵されて高温期になっているということです。卵胞が十分に育つ前に排卵されたら妊娠率は下がります。

また、高温期が10日未満の場合も要注意です。この場合は、排卵後、卵胞からプロゲステロンが短期間しか分泌されていないわけですから、子宮内膜を十分に厚くして受精卵の着床に備えられていない可能性があります。




卵巣機能が衰えるとエストロゲンの分泌量が減る

では、具体的に、卵巣機能が低下すると、体の中ではどのようなことが起こるのでしょうか。

卵巣機能が低下すると、卵巣から分泌されるエストロゲンの量が減ります。脳下垂体からFSHが分泌されて、卵巣を刺激しても、卵巣から分泌されるエストロゲンが一向に増えないという事態が起きます。すると、脳は「卵胞が育っていないな・・・」と理解し、さらにFSHを分泌させます。

つまり、卵巣機能が低下しているとFSHの値が高くなるわけで、卵巣機能を調べるためにFSH検査をするのはこのためです。

卵巣機能が衰えると、早発LHサージや早期黄体化も

卵巣機能が低下してエストロゲンの分泌量が減ることで、脳の視床下部は「卵胞が育っていない、排卵していない」と理解して、GnRHの分泌を増やし、それによって脳下垂体からのFSHやLHの分泌も増えてしまいます。ホルモンバランスが崩れることで、無月経、月経不順、不妊の原因になることもあります。

早発LHサージや早期黄体化という症状になることもあります。

早発LHサージは、卵胞がまだ十分に育っていないのにLHサージが起こってしまうことで、これによって、未成熟のまま排卵が起こってしまったり、「早期黄体化」といって、排卵前に卵胞が黄体化してしまう現象が起きてしまいます。

体外受精を進めていく中で、早発LHサージや早期黄体化がみられると、その周期での採卵を見合わせることになるようです。

卵巣機能の低下に対処するには

一旦低下してしまった卵巣機能を元に戻すのは難しいようですが、状況を悪化させないように努力することは、十分にできるようですね。

クリニックなどでも勧められることとしては、「冷やさない」「運動する」などの血流を良くする努力。ホルモン検査の結果、FSHやLHの値が高い場合は、卵巣機能が低下している証拠ですから、卵巣近辺の血流を良くすることが大切になります。

このサイトでお勧めしている「妊活の基礎」は、結局はここに行きつくことがほとんどです。血流を良くすることで卵巣機能の低下を防いでいくことは、1日2日でできることではないですが、ずっと続けて入れば、とても価値のあることです。是非取り組んでみて下さい。

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