妊娠のしくみについて
卵子は卵管の中で精子を待つ
排卵された卵子は、卵管采によってキャッチされ、「卵管膨大部」の中で精子を待つことになります。
ところが、卵子の寿命は約1日。
この間に精子が卵子のところまでたどりつかないと、卵子は消滅してしまいます。
なお、卵子を放出した卵胞は、卵巣の中で黄体になって「黄体ホルモン」を分泌します。
これによって、子宮内部の「子宮内膜」はどんどん増殖して厚くなり、受精卵を迎える準備を始めます。
射精された精子の行方
さて、一方で精子の動きです。
精子の寿命は約3日。
この間に
膣⇒子宮頸管⇒子宮⇒卵管⇒卵管膨大部
と移動して、卵子と出会わなければなりません。
受精できなければ、全て消滅してしまいます。
膣内で射精された後、精子は、「頸管粘液」を伝って、子宮まで泳いでいきます。
実はここが第一関門で、膣は外部から細菌が侵入するのを防ぐために酸性となっていて、このままでは精子も膣を、子宮頸管を通り抜けて子宮に侵入することができません。
そこで重要になってくるのが、子宮頸管から分泌される頸管粘液です。
頸管粘液はアルカリ性で、排卵期になると大量に分泌されるようになります。
この頸管粘液をつたっていくことで、精子は初めて、膣⇒子宮頸管⇒子宮と泳いで移動することができるのです。
そして子宮内部からさらに卵管⇒卵管膨大部へと移動します。
ただし、ここまで到達できる精子はごくわずか。
射精時には1億~5億個あると言われる精子のうち、卵子まで到達できる精子は数百個と言われています。
卵子にたどり着いた精子は、卵子の周りの細胞膜・透明帯を溶かして、中に潜り込もうとします。
このうち、潜り込めるのはたったの1つ。
一つの精子が卵子の中に入り込むと、卵子は他の全ての精子を受け付けなくなります。
これで、受精完了です。
受精のパターンは2つある?排卵日前後にセックスが必要な理由
さて、精子は寿命が3日ほどあるので、
- 卵管膨大部に精子が先に到達していて、そこに卵子が排卵されてやってくる場合
- 卵子が卵管膨大部で先に待っていて、そこに精子がやってくる場合
のどちらももあります。
タイミング法で、排卵日前後にセックスを数回行う理由はまさにこの部分です。
正確な排卵のタイミングが分からない以上、排卵日前後に何回かセックスをしておいて、両方のパターンでの受精の可能性を試みるというわけです。
排卵日になってからセックスするだけでは、卵子の寿命がつきるまでに精子がたどり着かないかもしれません。
そのため、排卵日の前後に数回セックスする必要があるということになります。
受精卵が着床するまで
さて、精子と卵子が受精した後、受精卵は細胞分裂を始めます。
受精卵は、最初ひとつの細胞なんですが、これが、2日目に2~4つに、3日目に8つに分かれ、4日目には16~32個に分裂して桑実胚と呼ばれる形になります。
細胞分裂した受精卵は「胚」と呼ばれますが、体外受精の時には医師からよく聞く名前なので、覚えておくとベターです。
細胞分裂の結果できた「胚」は、その後、卵管を通って子宮に進んでいきます。
子宮は、卵巣内の黄体から分泌された「黄体ホルモン」の影響で、子宮内膜が厚くなっていて、胚は、この子宮内膜にくっついて、もぐり込みます。
これが着床と呼ばれているものです。
胚が子宮にたどり着くのは排卵後5~6日、さらに着床するまでが1~2日と言われているので、排卵後、約1週間で着床するということになります。
着床=妊娠とは判断できない
ところが、この着床をもって「妊娠した」と判断するのはまだ早いんです。
実は、この後に妊娠維持をするのが大変で、産婦人科でも「おめでとうございます」って言われるのは、妊娠6~7週目で胎児の心拍が聞こえてからという場合が多いようですね。
ちなみに、妊娠~週というのは、最終月経開始日を妊娠0週として数えます。
その後は、
- 妊娠0週 :最終月経日
- 妊娠2週 :排卵
- 妊娠3週 :着床
- 妊娠4週 :市販の妊娠判定薬で検査できる
- 妊娠5~6週 :胎嚢が確認できる ※胎嚢・・・胎児が入っている袋
- 妊娠6~7週 :胎児の心拍が確認できる
- 妊娠8週 :妊娠状態が安定
といった感じで妊娠が進んでいくということになります。