卵巣機能をチェックする検査にはどんなものがあるのか?
ところで、卵巣機能のチェックをするための検査ってどんなものがあるのでしょうか?
以下、いくつかの例を上げますので、実際に検査に行く前に頭に入れておくと、医師からの話が理解しやすいかもしれませんね。
AMH検査|卵巣の内の卵子の残数を推測できる
AMH検査とは?
卵巣内の卵子の残数を測定するための検査で、最近注目されているのが、AMH検査です。
AMH検査というのは、卵巣内に残っている発育可能な卵胞の数を測定するものです。
AMHというのは抗ミュラー管ホルモンというホルモンで、卵胞の発育を調整するホルモンです。発育卵胞の数が多いほどAMHの値は高くなります。
AMH検査は、月経周期に関係なく出来る
AMH検査のメリットは、月経周期に関係なく検査ができること。
FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)の値が月経周期の中で大きく変化するのに対して、AHMはほぼ一定のため、測定しやすいわけです。
ただし、あくまでも「卵子の在庫数」の測定に過ぎず、これによって、卵子の質がわかるわけではありません。
FSH(卵巣刺激ホルモン)値の検査
FSH検査は、月経3日目~7日目に行う
FSHは、生理周期の中で変化しているので、「基礎値」というのを測ります。この基礎値を調べるために、
月経3日目~7日目
の間に検査を行います。
FSH値で、卵巣状態がわかる理由
高齢になるにしたがって、卵巣では、卵子が発育しにくくなってきます。
そのために、何とかして卵子を発育させようと、脳からは、より多くのFSHが分泌されるようになります。
そのため、FSHの値が高ければ、卵巣が「卵巣刺激に対する反応が悪い」状態になっていることがわかります。
卵巣刺激に対する反応が悪ければ、排卵誘発剤の効果に影響が出るため、体外受精での採卵数が少なくなることなどが考えらえれます。
E2(エストラジオール)値の検査
E2(エストラジオール)というのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)の1種で、エストロゲンの分泌を調べるのに使われるのがE2検査と言われるものです。
検査は、
月経3日目~7日目
に行われます。
E2(エストラジオール)の値が低いと、エストロゲンの分泌が少ないと言うことになりますから、卵巣機能が低下していると判断されます。
超音波検査による、胞状卵胞数の検査
卵巣の中の状態を、超音波検査で確認する
卵巣内の原始卵胞は、
原始卵胞⇒一次卵胞⇒二次卵胞⇒前胞状卵胞⇒胞状卵胞⇒主席卵胞
という順に発育していきます。
ただし、1日に1000個ずつ目覚めている原始卵胞がすべて最終段階まで発育できるわけではなく、毎月1個の主席卵胞だけが排卵できるだけで、他は全て淘汰されて消えてしまいます。胞状卵胞と言うのは、この過程の中で、今回の生理周期で排卵される可能性がある卵胞のことです。
この胞状卵胞が卵巣内にいくつあるのか?を超音波検査で測定するのが「胞状卵胞数の検査」です。
AMH検査はホルモン値、超音波検査は肉眼で検査する
前に書いたAMH検査で測定するAMH(抗ミュラー管ホルモン)というのは、この胞状卵胞と前胞状卵胞から分泌されているホルモンです。そのため、AMHが高ければ、その分胞状卵胞、前胞状卵胞が卵巣内に残っていると言うことがわかるわけです。
胞状卵少数の検査は、これを超音波検査によって肉眼で行うというところが、AMH検査との違いになります。
インヒビンB値の検査
インヒビンBというホルモンは、FSH(卵巣刺激ホルモン)を抑制する働きをしています。
卵胞の発育が始まると増加して、排卵後に急激に減少することで、FSHの分泌量に影響を与えています。
卵巣機能が低下するとFSHの値が上がっていくのは、インヒビンBの分泌量が減るためと考えられていて、そのために卵巣機能を測るために、インヒビンBの値を測定するわけです。
プロラクチン値の検査
プロラクチンというホルモンは、授乳期間中にさかんに分泌されるホルモンです。
そして、母乳を分泌させたり、授乳期間中に妊娠しないために排卵を抑制する働きがあります。
ところが、妊娠していないにも関わらずプロラクチンがさかんに分泌される「高プロラクチン血症」になってしまうと、排卵障害や無月経になる可能性があります。
プロラクチンの検査は、生理周期に関係なく行うことが出来ます。