ロング法、ショート法、アンタゴニスト法の選び方
不妊治療で、体外受精までステップアップすると、また色々と知らないとならない言葉が増えてきます。特にややこしいのが、卵巣刺激法ですね。
ロング法 ショート法 アンタゴニスト法
という3つの卵巣刺激法があって、このうちのどれかを選択して、採卵の準備を行うことになります。医師と話をする前に、言葉の知識を入れておかないと、話がわからなくなってしまいますので、この記事では、この3つの卵巣刺激法について、大まかな説明をしたいと思います。
卵巣刺激方法って何?~ロング法、ショート法、アンタゴニスト法~
そもそも、卵巣刺激法って何かってことなんですが・・・
体外受精をする時には、卵巣から採卵しないとならないですよね。でも、この採卵ってとても難しくて、
卵巣で目一杯育った卵子を、排卵直前で採卵しないとならない
わけです。でも、普通にしていたら、いつ排卵するかって正確にはわからないし、そもそもしっかりと卵子が育っているかどうかっていうのもわかりません。そこで、生理の周期をなるべく完璧にコントロールするために、卵巣を人為的に刺激して卵胞の発育をさせる方法が卵巣刺激法です。
排卵誘発剤で卵胞を育て、排卵促進剤で排卵を促す
この採卵のための排卵刺激法は、基本的には、
・排卵誘発剤によって卵巣内の卵胞を育てる
・自然排卵しないように排卵抑制剤を使う
・卵胞の成長が確認できたら、排卵促進剤で排卵を促す
・排卵直前に通院して採卵する
という流れになります。ここで出てくる排卵誘発剤、排卵抑制剤、排卵促進剤の使用方法には色々な組み合わせがあって、効果や副作用が変わってくるんです。そのため、人によってどの方法が合うのかが変わってきます。そこで、大まかなくくりとして
・ロング法
・ショート法
・アンタゴニスト法
・低刺激法
というのがあり、医師が選択、場合によっては患者の希望に合わせて使用していくというわけです。
一般的には、ロング法・ショート法のどちらかから始まることが多い
ロング法・ショート法・アンタゴニスト法・低刺激法のどれを、どんな基準で選ぶのか?ってことは、大枠としては次のような判断基準になります。
多嚢胞性卵巣症候群や、過去にOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になったことが無い人の場合、最初はロング法またはショート法から始めるケースが多いようです。
採卵方法で最もスタンダードなのはロング法になります。ただし、ロング法は卵巣への負担が大きい方法なので、基本的には
・37歳以下の人
・卵巣機能に問題が無い人
が対象になります。
ロング法が適さない人は、次の選択肢がショート法になることが多いようですね。ショート法は、
・38歳以上の人
・卵巣機能が落ちている人
が対象になります。
ただし、ショートは、採卵数は多いものの、
・卵子の質が低下しやすい
・排卵コントロールがしづらい
といった欠点もあるので、ロング法がダメなら、ショート法で絶対に大丈夫というわけにはいかないようです。
アンタゴニスト法と低刺激法という方法もある
そこで、ロング法でもショート法でも、あまり採卵が出来なかった場合に、アンタゴニスト法というのがあります。また、
・多嚢胞性卵巣症候群がある人
・ロング法やショート法でOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になった人
の場合は、医師の判断によって、最初からアンタゴニスト法になる場合もあります。
また、最近では、低刺激法を使うクリニックも増えているようで、これは
・35歳以下
・卵巣機能が優れている
人に、卵巣への刺激を少なくして、身体的負担や経済的負担を減らすことが出来る方法として注目されています。