夫婦間の妊活熱の不一致について
夏越の祓えの時期ですね。
今年の夏は暑くなると言いますから夏を健康で過ごせるように、そして夫婦で一つの時間を共に過ごすために季節の行事を利用してみるのも良いかもしれませんね。
【専門家紹介】
山田 光敏 ヤマダ ミツトシ
鍼灸マッサージ師
東京身体療法研究所 総院長
生後1か月の赤ちゃんから104歳の高齢者までを受診する。
不妊施術を中心とし、ダウン症や脳性麻痺と言った障碍を持った赤ちゃんの発育援助、女性に対しては美容から症状緩和高齢の方の痛み対策など、幅広く治療する。
不妊施術治療院としては都内最古の歴史を持つ。
HP http://www.tokyobody.jp/cgi-bin/new/index.cgi
男性の精子も年齢と共に質が低下する
この記事を読まれる方は妊活をされている方が多いと思います。ところが、多くのご夫婦から「夫婦間で妊活に対する温度が違う」という事を相談されます。どうしても奥様から見るとご主人の妊活熱は低いように感じているようです。
ですが、女性の卵子の質と同様に男性の精子の質も年齢と共に下がってしまし、妊娠しにくくなることが分かっています。妊娠を望むのなら、男性も女性と手を取り合い、同じ情熱を持って妊活を進めていかないと男性が女性の足を引っ張りかねない状態になってしまい、妊活期間は長くなりそして余計な費用もかかってしまう事になります。
妊活熱に温度差を感じてしまう理由
男性の妊活熱が低くなる理由は幾つかありますが、今回は普段あまり書かれる事が少ない内容を皆さんにお伝えしたいと思います。
一つは疲労と性欲の関係です。女性もそうだと思いますが男性の場合、仕事が忙しく疲労が蓄積していくと急激に性欲が削がれてしまいます。愛する女性と行為に臨みたくても体がついてこないのですね。
女性ももちろん疲労が性欲に影響を与えますが、男性より妊娠に対する欲求が強い(性欲が強いという意味ではありません)こともあり、同じ共働きでも排卵に向けて夫婦行為を持つハードルは低くなるようです。そうなると、女性は男性の事を「妊活に協力的でない」 と感じてしまいます。
そして、もう一つ男性の妊活熱を冷ましてしまうものがあります。それは女性の涙です。実は、女性の涙には、男性のテストステロン作用に影響を与えてしまい、その女性に対する性的な魅力を減らしてしまう作用があるのです。※1
以前、私のところに来られている患者さんにアンケートをした事があるのですが、夫婦間で妊活について話し合った時に涙を流してしまった女性は8割近くにもなっていました。女性の涙は「護ってあげたい」という気持ちを男性に呼び起こしても性欲は引っ込めさせてしまいます。ですが、女性にとっては「ここまで心を割って話しているのに、どうして妊活に協力してくれないの!」となり、より温度差を感じさせてしまう事になるのです。
こういった男性と女性の “ココロとカラダ” の違いがちょっとした行き違いを生じさせてしまうのです。
男性の妊活熱を上げるためにできること
男性の疲労と性欲は必ずしも一致しません。男性というのは疲労していても「休息できる環境」でなければ性欲は保たれているものです。ですが、帰宅、というのは男性にとって休息できる環境に戻ってきた事を意味しますから、それと共に性欲は減退する事になります。旅先だと多少疲れていても夫婦行為を持てるのはこういったココロの変化も関係しています。
例えば、仕事が忙しく帰りが多少遅くなる日と排卵が重なるのなら、夕食を外で一緒に食べてから帰宅するというのも一つの手です。帰宅前に食事デートする事は性欲を高める事につながるからです。※2
そして、重要なことは、妊活の話題は笑顔で行うこと。男性の”ココロ”は脳で理解したとしても涙する女性に対して性的な魅力を減じさせてしまうのはどうしようもできないのです。笑顔でいることは苦しく辛い時もあると思います。ですが、本来妊活は幸せのため夫婦活動です。相手を責めるのではなく、夢ある内容したいですね。
そして涙は嬉し涙の時にためにとっておいて欲しいのです。その涙は、男性が「家族を守る」という原動力につながるのですから。
※1 Gelstein S et al : Human tears contains a chemosignal. Science 331, 226-230, 2011
※2 Alice Ely.et al : The way to her heart? Response to romantic cues is dependent on hunger state and dieting history: An fMRI pilot study Appetite 2015