不妊治療で無計画な借入には注意!
日本政府は「経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太の方針)」の中に結婚・出産・子育て支援として少子化対策を掲げており2015年度から5年間を「少子化対策集中取組期間」と位置づけています。
このような大きな流れの中、「妊活」という言葉も定着し、妊活を後押しする様々な施策も行われております。
その代表例が国、地方公共団体が行っている「不妊治療助成事業」です。
不妊治療は、一般的に検査や不妊治療費が高額となることから、上記助成のみでは不妊治療費には不足し、事前に自分で不妊治療費を準備するか金融機関から借入(ローン)を行わないといけません。
金融機関からの借入(ローン)については私たちの生活に身近なところでも様々な連携が行われており、最近では池田泉州銀行が大阪府箕面市と連携して不妊治療や育児関連を対象にしたローンの金利を引き下げる取り組みを始めております。
参照元:日経デジタル「池田泉州銀、妊活・子育て支援で大阪府箕面市と連携 ローン金利を割引き」
これは箕面市民を対象に、金利を店頭表示から年0.2%割り引くもので、これに加えて市の助成制度の対象になれば実質無利子となるものです。
【専門家紹介】
大間 武 オオマ タケシ
( ファイナンシャルプランナー/ 千葉県)
株式会社くらしと家計のサポートセンター 代表取締役
飲食業などの経理、公開予定企業の経理業務構築、ベンチャーキャピタルの投資事業組合運営管理を経て、2002年ファイナンシャル・プランナーとして独立。2005年株式会社くらしと家計のサポートセンター、NPO法人マネー・スプラウト設立。「家計も企業の経理も同じ」という考えを基本に、家計管理のアドバイス、監査役など社外役員として企業運営サポート、セミナー講師講演、執筆など幅広く活動。
不妊治療費はいくらまでOK?
不妊治療は検査から治療まで1回数万円から数十万円と検査内容、治療内容によって金額の高低はありますが高額になるのが一般的です。
1回の治療で妊娠できればよいですがそうとも限らず、複数回の治療が必要となってきますと合計で百万円単位の治療費が必要となってきます。
年収がいくらの場合、不妊治療費としての支出はいくらまでOK?
と気になると思いますが、当然ながら、働き方(共働きかそうでないか)住宅(賃貸か所有か)などの生活スタイルによって様々です。
私の考えでは、日常の生活、他のライフイベント等を考慮すると年収の10%程度だと大きな負担にならずに取り組めると思います。
もちろん、これはその年の収入で不妊治療費を支出する場合ですので、貯蓄等で事前に不妊治療費を準備されていればその心配はありません。
不妊治療でローンを組む場合
池田泉州銀行の場合、最長10年300万円まで借り入れることができます(金利は割引等前で3.975%)。
仮にこの内容で借入れた場合、月々の返済額は30,337円となります。
不妊治療のためにローンを組む場合には、他のローン返済も含め年収に占める返済額が25%以内になるような借入額に設定することがポイントです。
これは上記でも述べていますが、日常の生活に影響を及ぼさないような金額としての目安です。
例えば年収500万円の場合、年収に占める返済額25%は、
500万円×0.25 = 125万円
となり、月々の返済額は
125万円÷12ヶ月 = 104,166円
になります。
では、不妊治療で返済できる額はどうなるか?というと、
仮に、不妊治療以外のローン返済額が月80,000円とした場合、
不妊治療で月々返済できる額は
104,166円-80,000円=24,166円
となります。
これを、池田泉州銀行の借入条件3.975%で計算した場合(計算式は省略)、
約239万円借入れることができる
という計算になります。
不妊治療とその他のライフイベント
不妊治療を行う場合には、年齢や他のライフイベント(住宅購入、教育費、セカンドライフ等)の実施時期、準備との関連、不妊治療に関する各種助成の条件などを勘案しながら妊活を行う時期を決めていただきたいと思います。
無計画な実施は他のライフイベント実行に大きな影響を及ぼします。
妊娠しやすい年齢、子育てを行う時期、セカンドライフへの準備等を考えますと年齢的には早い準備と実行が必要となってきます。
また、妊活を行う場合には事前の準備が重要で上記の全体スケジュールやお金に関することも重要ですが、心と身体(健康)の準備が最も重要です。
様々な準備を事前に行うことによって心に余裕をもって妊活を行っていただきたいと思います。