心理カウンセラーの今井さいこさんにインタビューしました

妊活WOMANを運営している、LIB Laboratory(リブラボ)代表で心理カウンセラーの今井さいこさんにインタビューしました。
今井さんは、ご自身が妊活の経験があり、その経験を生かして、妊活で悩む女性のためにカウンセリングなどのお仕事をされている方です。

妊活では、女性の側の心理的負担が重くなる傾向が強いものの、そういった点をしっかりと支える仕組みがないのが現状です。
もちろん、今井さんのように、妊活中心に活動されている心理カウンセラーの数は、とても少ないですね。

そこで、実際に今井さんにお会いして、活動の内容や、妊活との向き合い方などについてお話しを伺いました。

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【プロフィール】
LIB Laboratory 代表
NPOハピマムプロジェクト 理事
1979年生まれ、慶應義塾大学卒業。ベンチャー企業に勤める傍ら、心理カウンセラーとしての勉強と実践を積む。2009年より個人向け心理カウンセリングを開始。自身の妊活経験から、「妊活中も、妊活以外の女性としての楽しみを充実させたい」と感じたことから、2013年より妊活WOMAN向け心理カウンセリング、SNS運営を開始。現在、会員数は200名。約3年の妊活を経て、現在1児の母。





妊活の心理カウンセリングを始めたきっかけは?

— 今井さんが運営されているサイト「妊活WOMAN」を拝見しました。お茶会、カウンセリング、マネープランといった精力的な運営もさることながら、サイトで発信されているコラムがとても印象的ですね。そもそも、今井さんが妊活の心理カウンセラーという道を選ばれたのには、どのようなきっかけだったのでしょうか。

今井:実は、私自身も妊活を経験しているんです。その時には、妊娠した人からしっかりと話を聞きながら、絶対に妊娠したいと思っていました。その時には、すでに心理カウンセラーとして活動をしていたので、自分の妊活経験をオープンにしつつ、妊活中の女性のカウンセリングをしたいと思ったのがきっかけです。

— ご自身の経験をオープンにするというのは、とても勇気のいることだと思います。旦那様にはご理解して頂けたのですか?

今井:少しでも、妊活で悩んでいる人のためになればと思って活動を開始しました。主人も、プライバシーが無くなるわけではないし・・・ということで、理解をしてくれました。

お茶会、カウンセリングなどの活動について

インタビュー写真1

— 今井さんが運営されている妊活WOMANでは、お茶会とカウンセリングについてかいてありますね。お茶会では、どのようなことをされているのでしょうか。

今井:お茶会は、少人数で気軽にお話しをする雰囲気で運営しています。もちろん妊活がテーマですが、深刻な雰囲気になったことはありませんね。ちょっとしたガス抜きでお話をするケースもあります。

— お茶会では、どんなことが話題になりますか?

今井:旦那様が協力してくれない話とか、仕事と妊活の両立が難しい・・・といったテーマもあります。ただ、妊活は、人によって事情、考え方、夫婦関係、妊活の段階がまったく違うので、「働いている人」とか「流産経験のある人」など対象を絞ることもあります。

— カウンセリングは、お茶会とは異なる感じですか?

今井:そうですね。お茶会は、気軽に参加できる良さがある一方、カウンセリングは、1:1で時間を取りますから、深刻な悩みを抱えている方にお勧めします。

— カウンセリングでは、どんな悩みに直面することがありますか?

今井:「絶対妊娠したい」と思っている人ほど、「妊娠がゴール」になってしまっていることが多いです。妊活のゴールは、妊娠ではないんですよね。妊娠しても、何かが解決するわけではありません。その後も、妊娠後のつわり、出産、育児とその先があります。

— 妊娠がゴールと思うことで、自分を苦しめてしまう?

今井:そうですね。答えを自分で見つけるお手伝いをするのが私たちの仕事なのですが、まずは、「ゴールは妊娠ではない」ということから始めることが多いですね。そして、自分にとっての「妊活のゴール」を考えてもらいます。

— 妊活WOMANに「マネープラン」があるのも、その流れですか?

今井:マネープランもしっかりと考えて頂きたいですね。共働きの家庭の場合は、妊娠して、旦那様の収入だけになった時に、どうやってやりくりしていくかも考えないとなりません。こちらは、私ではなく、ファイナンシャルプランナーが相談に乗ります。

妊活の悩みにはどんなものが多かったですか?

— 今まで直面した中では、どんな悩みがありましたか?

今井:仕事との両立や、旦那様のことが多いですね。

— 仕事との両立ではどんな悩みが?

今井:不妊治療を受けている場合のスケジュールの立て方で悩んでいることや、キャリアアップのチャンスと引き換えに、子供を一定期間作らないように言われたといったお話も伺ったことがあります。退職するかどうか?で悩んでいる人もいます。

— 子供ができないことを周囲から言われて、嫌な思いをしているケースも?

今井:いわゆる「長男の嫁」になると、出産を期待されることでプレッシャーを感じている人もいます。義理のお母様はもちろん、「親戚のおじさん」からのプレッシャーがきつい・・・といったお話もありますね。

悩みを解決するために大切なことは?

インタビュー写真4

— 色々な悩みを解決するために、今井さんがカウンセリングで大切にしていることを教えてください。

今井:最も大切なのは「自分を知る」ということです。自分が何に悩んでいるのか?が整理できていないために、悩みを解決するためには何をしたら良いのか?がわからずに困っている人が多いです。そのためカウンセリングでは、「自分の思い」を紙に書き出すことから始めることが多いです。

— どんなことを書き出すのでしょうか。

今井:「自分にとって妊活とは?」「妊活に対するイメージ」や、「ワクワクすること・しないこと」「出来ること・できないこと」などですね。感情を書き出すことで、悩みを整理する効果は高いです。

— 女性は話をすることで、イライラした気持ちを消化する・・・といったこともあると思うのですが、それとは違いますか?

今井:確かに、お話をすることで気持ちはスッキリしますね。でも、何も解決しないんです。カウンセリングでは、客観的に解決法を考えることが重要です。





夫婦間のすれ違い・・・大切なのは話し合うこと

インタビュー写真2

— 私たち夫婦は、妊活中そして妊娠後、出産後と、夫婦間のすれ違いがありました。今になって思うと、そのことを冷静に考えられるのですが、当時はどうしても溝が埋められなかった気がします。そもそも女性と男性では、思考回路が違うのでしょうか?

今井:女性と男性では、やはり考え方が違いますね。まず、女性は同時に色々なことを考えられるのに対して、男性は一つ一つクリアしていかないと次のことを考えられないケースが多いです。奥さんは、マネープラン、出産年齢のことなどを同時に考えながら妊活を進められるのですが、多くの男性は、「昇給してから」「お金がたまってから」といった感じで、何かがクリアできないと妊活に進めないんです。そうなると、夫婦間でのすれ違いが生じやすいですね。

— 私たち夫婦の場合、話す時間はたくさんあったはずなのに、振り返ってみると、そういった実のある話もしていなかった気がします。

今井:夫婦間の話は、ぼんやりした話になりがちです。本当は、妊活中に「子供は何人欲しい」とか、「いつ出産するのか」「仕事は続けるのか」「いつ復職するのか」といった具体論が必要なんですけど、男性が話をしないために、話が進まないケースもあります。

— 話は聞いてはいても、頭に入っていないことも?

今井:そうですね。男性には大変かもしれませんが、奥さんの話はしっかりと聞くことが大切です。

— すれ違いが生じやすいのはどんな時でしょうか?

今井:女性の細やかな心の動きに男性が気づかない時が多いですね。女性の気持ちは、ホルモンの関係で変化することがあります。男性にとっては、この部分を理解するのは難しいと思いますが・・・。

— 男性の立場としてはどうしたら良いのでしょうか?

今井:ちゃんと受け止めてほしい奥様もいますし、楽観的な旦那様に助けられている奥様もいます。女性によって異なりますから、その分、しっかりと話を聞くことが大切です。

— では、男性が気配りすべきことは?

今井:まず、奥様の話をちゃんと聞くことが大切です。そして、自分の気持ちもしっかりと伝えましょう。話し合ってみると、夫婦で同じ想いを持って妊活に臨んでいることが確認出来るケースも多いんですよ。

— 逆に、女性が気配りすべきことは?

今井:「他人と過去は変えられない」ということを考えることです。妊活を始めてから、旦那様の性格を変えようとする女性が多いのですが・・・性格は変えられません。旦那様が非協力だと思っても、まずは話しましょう。先ほどと同じことになりますが、話し合ってみると、同じ想いを持っていることがわかることもあります。

妊活は人生の通過点にすぎない

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— 最後に、今井さんから、妊活をしているご夫婦へのメッセージをお願いします。

今井:はい。大切なのは、「妊活は人生の通過点にすぎない」ということです。妊活のゴールが「妊娠すること」になってしまい、悩みを深くしてしまっている女性は多いです。でも、妊活の後も人生は続くきます。そして、その人生を一緒に歩むのはパートナーです。ですから、パートナーとどのように人生を歩むのかをまず第一に考えて欲しいと思います。どういう家庭を築くのか?をご夫婦でしっかりと考えていくことが、妊活するにあたって、とても大切なことになるのです。

取材を終えて

今井さんは、とても柔らかい物腰で、お話しているとこちらが癒されてしまうような雰囲気の持ち主でした。
色々な方の悩みに正面から向き合いながらも、感情に流されずに「悩みを解決する方法」を冷静に分析している姿勢が、とても印象的な方です。

今井さんとはお茶会、カウンセリングでお会いできますので、悩んでいらっしゃる方は、一度コンタクトを取られると良いかもしれませんね。

最後になりますが、LIB Laboratory(リブラボ)代表 今井さいこさん、取材へのご協力ありがとうございました。

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