不妊治療とセックスレスの関係とは?
近年、セックスレスに悩むカップルが増えています。
要因としては、ネットやゲームといった娯楽やカラオケやマンガ喫茶などの娯楽施設が増え、人間の快楽と興味が多様化され、他にもインターネットの普及により「セックスレス」という一般的に話しにくいことがネット上でなら打ち明けられ、問題が顕在化したということも考えられます。
また、不妊治療もセックスレスの原因になるケースがあります。
私はセックスレスについてご相談をいただくことが多いのですが、不妊治療がきっかけでセックスレスになったカップルにたくさんお会いしてきました。
今回は、そんな不妊治療とセックスレスの関係についてお話ししたいと思います。
【専門家紹介】
小日向 るり子
心理カウンセラー
フィールマインド 代表カウンセラー
「どんな話も否定しないで受け止める」を理念とする組織で電話相談員として活動し、その後もカウンセラーとして約2200件のご相談への対応経験を持つ。「どのような話でも受け止める」ことをモットーとしている。
HP http://feel-mind.net/index.html
“タイミング法”がセックスレスを生む?
子供が欲しいと願うカップルにとって、セックスレスは大きな問題です。
なぜなら不妊治療は「タイミング法」から始まるのが一般的だからです。
タイミング法とは、基礎体温表や超音波検査で排卵日を予測して、排卵日前後に夫婦関係を持つことで妊娠を目指す治療法です。
つまり、定めた日に夫婦関係を持つことを指しますが、男性は「この日にセックスしなければいけない」という状況に精神的重圧を感じ、心因性のEDを引き起こしてしまう場合が少なくありません。
30%強の男性が不妊治療をきっかけにセックスレスになってしまったという調査結果も存在しています。
「妻だけED」
最近では妻とのセックスが楽しいものや快楽ではなく、子作りという「作業」としか思えず、その義務感から妻とセックスする時だけ勃起できなくなる「妻だけED」などという言葉も生まれてしまいました。
不妊治療は、排卵を促す注射や薬、そのための通院など、女性にとって、より負担が大きいものです。
それゆえ、この日に夫婦関係を持ってくださいと医師に言われるとどうしても女性側に力が入ってしまいがちなのですが、この力の入り具合が男性側に強迫観念を生じさせてしまい、セックスが怖い、逃げたいという精神状況になってしまうのです。
不妊治療をセックスレスにつなげないポイントとは?
このコラムでは、こうした夫婦間の意識のズレを修正し、不妊治療からのセックスレスを回避するためのポイントを2つあげてみたいと思います。
ポイント1:夫婦間で妊娠についてきちんと話し合う時間を持つ
夫婦といえどもお互いのことを何でも知っているわけではありません。
私のところには、彼女や妻の心理を知りたいというご相談も多く寄せられますが、女性からするとまったく見当違いの想像をされている男性も多く、男性心理と女性心理の根本的差異を実感することは度々あります。
男性にとっては女性が不妊治療に通うことを、予防接種や健康診断の延長程度に思っていたり、一方の女性も、男性の飲み会を楽しい行事という印象を抱いていたりといったことは少なくありません。
「これくらい言わなくてもわかるよね」という思いは危険なのです。
感情は言葉に出して2人で話し合うことを意識してください。
不妊治療を続けていくことの意味と意義に対して共通意識を持っておくことで、無用な怒りやわだかまりは意外とすっきりと消えるものです。
ポイント2:排卵日にこだわらずに夫婦関係を持つ
先にも述べたように、医師から指導された日だけセックスするという姿勢では男性側がプレッシャーを感じてしまいがち。
その日に男性側の都合でセックスできずに喧嘩になった経験があると、排卵日と聞いただけで家に帰ってこなくなる男性もいます。
「排卵日だからセックスする」という意識を男性側に持たせないように、普段からスキンシップをとり、仲良くしましょう。
男性の性は繊細ですが単純です。少し色っぽい格好をしたり甘えたりするだけで効果があることも多いのです。
いかがでしたでしょうか?
不妊治療はゴールが見えない部分もあり、焦ってしまいがちですが、まずはパートナーの気持ちを理解し合い、お互いが笑顔で過ごせる日常を心がけてみてくださいね。