厚生労働省が男性不妊に対する助成金を検討。希望出生率1.8の実現に向けて
今日(平成15年11月11日)の日経新聞のトップに、厚生労働省が男性の不妊治療に対する助成金を検討していると掲載されていました。
やっと、ですね・・・という感が否めないのですが、まあ、国の政策がようやく一歩進み始めているのであれば、喜ばしいことです。
男性不妊は不妊原因の約半分
不妊で悩む夫婦について、不妊の原因が男女どちらにあるのか?についての調査では、夫婦の約半数で、男性にも原因があることがわかっています。
昔は、「不妊=女性の責任」のように捉えられていたのですが、医学が進歩するに従ってそうではないことがわかってきたわけです。
男性不妊の原因としては、「精子が少ない」「染色体異常の精子が多い」「動いている精子が少ない」と言ったものがあって、いずれも精液検査をしないと判明しないことです。
国の助成金は女性の不妊治療にしか対応していない
国の定めた不妊治療に対する助成金の制度があります。
実施しているのは各都道府県で、自治体によっては、若干の上乗せ助成が行われているところもあります。
ただ、この助成制度は、女性の不妊治療が対象になっていて、男性の不妊治療は対象外なんです。
男性の不妊治療には、1回数十万の費用がかかりますから、コストの問題で不妊治療を諦める夫婦が多いというのも現実。
これに対して、市区町村レベルでは、自治体によって男性不妊に対する助成を始めているところもあるのですが、まだ数は少ないですね。
安倍政権が掲げる「希望出生率の実現」
安倍政権が掲げる政策の一つに「ストップ少子化」というのがあり、この中で、「希望出生率1.8の実現」という目標が盛り込まれています。
「希望出生率」って、ちょっと聞きなれない言葉ですよね。
これは、国民が考えている「将来このくらい子供が欲しいな〜」という希望が100%実現した場合、出生率(=女性が一生涯に産む子供の数の平均)がどのくらいになるのか?ということを表しています。
調査によると、それが1.8だというんですね。
一方で、現在の日本の出生率は、1.41です。
そこで、政府は、この実現をまず目指そうというわけです。
人口を維持するためには、出生率は約2.1くらいが必要と言われているので、そのための最初のステップとしては、確かに大切な目標だと思います。
「一億総活躍社会」に向けた緊急対策への盛り込みを目指す
今回の厚生労働省の検討は、今年度内の支給開始を目指したものになっているそうです。
安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」を推進するための具体的な政策の一つとしては、確かにうなずけるものです。
これまで、不妊治療や妊活で悩んでいる夫婦に対しては、正直なところ、社会的な理解が十分に進んでいるとは言えないのが現実でした。
「少子化対策」を声高に叫んでいる政治家はいても、それが具体的な政策となると「保育園の待機児童」の話くらいで終わってしまっている感が否めませんでした。
少子化の問題はとても根が深いです。
こういった具体的な政策の一つ一つの積み重ねが、本当の少子化対策の実現の礎になることを願ってやみません。