卵子の凍結保存 | 35歳を過ぎて慌ててしまう現実
日本経済新聞の社会面に、卵子の凍結保存の実態についての記事が出ていました。
卵子の老化、学会の指針、女性が現実的にできることの間には、大きなギャップがあると感じたので、報告しておきたいと思います。
40歳以上の利用者が多い未受精卵の凍結保存
日経の記事では、大阪のオーク住吉産婦人科の例が挙げられていました。
2010年からの5年間で、未受精卵の凍結保存を行った人のうち、
- 35~39歳が40%
- 40~49歳が48%
となっているというデータが書かれています。
他のクリニックでの利用実態がどうなのかは書かれていませんでしたが、このことは、私たち日本人女性に突き付けられた課題だと痛感しました。
未受精卵は、凍結すれば、いつでも妊娠できるというモノではありません。
一般には未受精卵を使用した妊娠率は10%を切るとも言われている上、35歳を過ぎると卵子の質は悪くなってしまいます。
でも、私のように、そのことをあまり知らずに35歳を迎えてしまう人が多いため、上で書いたように、35歳を過ぎてから慌てて、未受精卵の凍結保存をする女性が多いという実態を表している気がします。
卵子を凍結するにしても、35歳未満で凍結しておかないと、質の良い卵子を保存することが出来ません。
ところが、現実には、35歳を過ぎてから慌ててしまう人が多いのです。
日本生殖医学会の指針は正しいけど、現実と乖離?
日本生殖医学会では、卵子の凍結保存の指針をまとめています。
それによると、
- 成人女性が本人の生殖に使う場合に認める
- 40歳以上の採卵は推奨しない
- 45歳以上での凍結卵子の使用は推奨しない
といったことが決められています。
参照元:日本生殖医学会
40歳以上の卵子の質の低下、妊娠率の低下、高齢出産のリスクなどを考えれば、とても正しい指針だと思います。
ただ、問題なのは、こういった指針のことはもちろん、妊娠率の低下や高齢出産のリスクを知らない女性が多いと言うこと。
私も40歳近くになってから色々なことがわかって
「なぜ、そんな大事なこと、誰も教えてくれなかったの!?」
って思っていたし、知らなかった自分が情けなくなったのを覚えています。
未受精卵凍結の是非を議論する前に
未受精卵を凍結の是非を巡る議論は、これから専門家の間で、盛んにおこなわれて、いずれ何らかの指針は出ていくのだと思います。
ただ、その前に、一般女性にも一緒に考える機会を与えて欲しいし、医療関係者の方には、その意見もくみ取ってほしいと強く思うのです。
そして、そのためにも、妊娠・出産に関する正しい知識を周知する活動に、国や地方公共団体が真剣に取り組んでほしいと思います。
40過ぎて、二人目不妊で悩んだ末、私は妊娠をあきらめました。
私のように、35歳を過ぎてから、卵子の老化の現実や、高齢出産のリスクを知る人も多いです。
未受精卵の凍結保存に関して、妊娠・出産を計画する当事者が考えられる土壌を作らなければ、どんな指針も現実とかい離したものになり兼ねません。