妊娠後の葉酸不足 | 妊婦にとって危険な理由とは?
妊婦が葉酸不足になると、動脈硬化や妊娠高血圧症、胎児の発育不全や流産などのリスクがあると指摘している、クリニックのホームページなどがあります。
これはなぜなのでしょうか?
この記事では、主に葉酸不足と血液循環に焦点を当てて、妊婦と胎児のリスクについて書いていきます。
葉酸不足による妊娠高血圧症候群
葉酸が不足すると増えるホモシステイン
葉酸が不足すると「ホモシステイン」という物質が増えます。ホモシステインはアミノ酸の一種で、血管を狭くして硬化させる働きがあります。そのため、ホモシステインが増えると、動脈硬化を起こしやすくなります。
また、ホモシステインは血液の凝固にも影響するため、胎盤の血流障害を招いて、流産や胎児の発育不全に影響するとも言われています。
ホモシステインと妊娠高血圧症
ホモシステインが増加することによって引き起こされる症状のひとつとして、「妊娠高血圧症」があります。
妊娠20週以降に高血圧があらわれ、産後12週までに血圧が正常になる場合をこのように呼んでいます。妊娠高血圧症というのは、以前「妊娠中毒症」と呼ばれていたものの呼称が変わったものです。
以前、一般的に「妊娠中毒症」と呼ばれていた症状には「高血圧」に加えて「蛋白尿」「むくみ」が含まれていて、この3つの症状のうちいずれかがあれば「妊娠中毒症」と言われていました。
ところが、昨今の研究で、「蛋白尿」と「むくみ」は、「高血圧」でない限り、母親にも胎児にも悪影響を与えないことがわかったため、呼称を変えて、「妊娠高血圧症」と呼ぶようになったわけです。
ですから、現在では、妊娠中に「蛋白尿」「むくみ」があったとしても「妊娠中毒症」という診断はしなくなっています。
妊娠高血圧症になると、どんな危険があるの?
妊娠高血圧症になると、胎児の発育不全や流産につながる可能性が出てきます。
また、同時に母親のけいれん発作(子癇)、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害といったリスクも出てしまいます。
葉酸不足による貧血
どうして葉酸不足で貧血になるの?
血液に含まれる赤血球(酸素を運ぶ成分)を作るには、葉酸やビタミンB6、B12が必要不可欠です。
ところが、これらが不足すると、赤血球がうまく作られなくなって、血液が酸素を運ぶ力が失われます。
そうなると貧血になりますね。葉酸不足による貧血を、特に「悪性貧血」と呼びます。
貧血は胎児へのリスクが大きい
貧血になることで、酸素が全身にうまく運ばれなくなります。
そうなれば、卵巣近辺の血流が悪くなって卵子の状態に影響しますし、妊娠していれば胎児への酸素の運搬がうまく出来なくなることになります。
妊活中の貧血の危険性はコチラに書いてありますので、良かったら読んでみて下さい。
葉酸は過剰摂取にも注意!
これらの症状を改善しようと思っても、葉酸サプリの過剰な摂取はしない方が良いようです。
厚生労働省によると、特に合成葉酸については、1日1000㎍を超えて摂取をすると、過剰摂取のリスクが出るようです。
また、国立健康・栄養研究所によると、葉酸を取りすぎた場合、自身が発熱やじんましんなどを起こしたり、生まれた子どもがぜんそくになったりするリスクが報告されています。