徳島県で男性不妊に対する助成金制度がスタート
平成27年1月から、徳島県では、男性不妊に対する助成金制度をスタートさせました。
各自治体の動きを見ていても、最近は少しずつ男性不妊に対する助成制度を整えようと言う動きが出てきています。
この流れが加速すると良いですね。
徳島県が対象とするのは、精子の凍結保存
徳島県が今回対象としているのは精子の凍結保存。
でも、精子の凍結保存と言っても・・・何のためにやるのか良く分からないですよね。
そこで、この精子の凍結保存について少し解説したいと思います。
精子の凍結保存をするのは、どんな場合？
不妊治療で精子の凍結保存をするのは、人工授精や体外受精・顕微受精を行う場合です。
ただし、無精子症の場合と無精子症ではない場合で、ちょっと理由が変わってきます。
無精子症で精子の凍結保存を行うケース
無精子症の場合はマスターベーションで射精をしても、精液の中に精子が含まれていない状態です。
ですから、手術によって、精巣または精巣上体と呼ばれるところから、精子を取り出します。
そして取り出した精子はすぐに凍結保存して、体外受精または顕微受精にそなえるわけです。
無精子症ではなく、精子の凍結保存を行うケース
一方で無精子症ではなく、精子の凍結保存をするのは、次のようなケースです。
妻の採卵日と夫の予定が合わない
人工授精や体外受精・顕微受精の場合、本来であれば、妻の採卵日に合わせて、夫はマスターベーションで採精する必要があります。
ところが、出張など仕事の予定で、妻の採卵日に夫の都合がつかないケースもありますよね。
そういった場合に、予めマスターベーションで採精して、精子を凍結保存してしまうんです。
そうすれば、夫不在のまま採卵日を迎えても問題がないわけです。
夫の精神的プレッシャーを和らげる
決められた日にマスターベーションすることが精神的に大きな負担になる場合もあると思います。
採卵日に、「今日の～時までに精液を病院に持っていくから、マスターベーションしておく」という状況は、男性にとっては結構プレッシャーになるものです。
なので、都合の良い時にマスターベーションで採精をしてしまい、凍結保存をしておけば、採卵日に合わせてのマスターベーションは必要なくなります。
徳島の助成金は、無精子症で精子の凍結保存を行うケースに適用
今回、徳島県が始める男性不妊のための助成制度は、無精子症のため採精手術をし、精子の凍結保存を行うケースです。
精液中に精子が含まれない「無精子症」には2種類あって、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症があります。
閉塞性無精子症の場合の手術
閉塞性無精子症は、精巣では正常に精子が作られているのに、精子が精液に混ざるために通る「精管」に異常があり、精子が精液に混ざらなくなっている状態。
この場合は、MESAやPESAという方法で、精巣上体という場所から採精をします。
非閉塞性無精子症の場合の手術
非閉塞性無精子症は、精巣で、正常に精子が作られていない状態です。
でも精巣の中を探せば、わずかながらでも精子が存在する可能性があります。
それで、TESEやMD-TESEという方法で、精巣から精子を探して採精するのです。
手術による採精後の凍結保存に助成が行われる
このMESAやPESA、TESEやMD-TESEを行った後、採りだした精子を凍結保存します。
徳島県で始まった新しい助成制度は、
体外受精と顕微受精をする際に、採精手術後の精子の凍結保存にかかる費用
に対して、助成金を出そうと言うものなのです。
全国的に広まってほしい男性不妊に対する助成制度
男性不妊に対する認知度は、まだまだ低いのが現実です。
そのため、夫が「俺に原因があるわけない！」と思いこんで、検査・治療を受けないうちに、時間が経ってしまい妊娠のチャンスを逃してしまうケースも耳にすることがあります。
また、仮に夫に理解があったとしても、採精手術には数十万の費用がかかります。費用が高いがために、採精手術に踏み切ることが出来ない夫婦もいるはず。
WHOの調査では、不妊原因の半分は男性にもあるという結果も出ています。特定不妊治療の費用だけでなく、男性不妊にも助成金が出ることが一般的になれば、不妊で悩む夫婦にとっては、とても大きな力添えになるのは間違いないはずです。
そういった意味で、徳島県の新しい取り組みは、とても有難いもの。この動きが全国的に広がってくれることを願ってやみません。
