妊娠してからでは遅い!カルシウムを蓄えておきたい理由
胎児の骨は、母親の骨のカルシウムを使って作られます。
つまり、妊娠中に摂取したカルシウムが胎児の骨の形成に使われるというわけではないのです。
だから、妊娠した後で、「カルシウムをたくさん摂らなければ!」ということにはならないのですが・・・実はここに落とし穴があります。
この記事では、妊活中にカルシウムが必要なのはなぜ?ということについて、書いていきたいと思います。
妊活中にカルシウムを摂るべき理由がある
結論から言うと、カルシウムが妊娠体質と直結するということはありません。
ただ、妊娠後に備えて、妊活中から必ずケアしなければならないという意味で、とても大切なんです。
「胎児の骨の形成のために母親の骨のカルシウムが使われる」ということは、妊娠後に、母親の骨のカルシウムはどんどん減っていくわけです。
ということは、その分、妊娠前にカルシウムのたくわえが無いといけないということ。
たくわえが無ければ、妊娠後に母親の骨のカルシウムが不足して、骨粗しょう症のリスクが出てしまいます。
そのためにも、妊活中からカルシウムをしっかりと摂る必要があるわけです。
カルシウム不足になっている日本人
ところが、現在のところ、私たち日本人は慢性的な「カルシウム不足」になっている人が多いみたいです。
厚生労働省によると、カルシウムの1日あたりの摂取量の推奨は、20代男性が800mg、30代・40代男性が650mg、女性が650mgとなっています。
ところが、現状、カルシウムの平均摂取量は、20代男性が457mg、30代・40代男性が437mg、20代女性が402mg、30代・40代女性が441mgとなっていて、もう、全然カルシウムが足りていないことがわかります。
男性 |
女性 |
|||
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20代 | 30代・40代 | 20代 | 30代・40代 | |
推奨 | 800mg | 650mg | 650mg | |
平均 | 457mg | 437mg | 402mg | 441mg |
※厚生労働省のホームページからデータ抜粋
だから、妊活中からカルシウムをしっかりと摂取して、骨にカルシウムの蓄えを作っておく方が良いということになりますね。
ちなみに、授乳中は、母親から赤ちゃんに1日に210mgのカルシウムが渡されるそうですが、授乳中に骨量の減少がみられても、断乳後6か月で元に戻っていることがわかっています。
ただし、問題ないのはあくまでも「日ごろからしっかりとカルシウムを摂っている場合」だということを覚えておいて下さい。
妊活中にカルシウムが不足すると、こんなことに?
では、妊活中にカルシウムが不足していると、どんな事が起きてしまうのでしょうか?
以下では、カルシウム不足によって起こりうる症状について書いていきたいと思います。
カルシウム不足でイライラ?
血液中のカルシウムの濃度が少なくなると、神経活動がスムーズにいきません。
そのため、感情のコントロールが乱れ、精神的に不安定になってしまう原因になります。
また、自律神経が乱れることで、ちょっとしたことでイライラしたり、不安感が強まったりして、神経が緊張状態になってしまいます。
妊活中は、ただでさえもストレスがたまりやすいのに・・・カルシウム不足で、それに拍車がかかってしまうのは良くありません。
ゆったりした気持ちでいられるように、カルシウム不足にならないように心掛けたいですね。
妊娠高血圧症候群とカルシウム
カルシウムの働きは血流にも係わっています。
これは、カルシウムが血管等の細胞活動にも影響を与えているからで、カルシウムが不足してしまうと血管の老化や血圧上昇を招いてしまうのです。
血流改善は妊活中にもとても大切なこと。
子宮環境や卵巣環境にも影響を及ぼします。
妊娠高血圧症候群とカルシウム
妊娠中に血管の老化や血圧上昇が起こると、動脈硬化や高血圧になるリスクが高くなり、妊娠中は妊娠高血圧症候群の心配もあります。
妊娠高血圧症候群になると、胎盤に血液が上手く運ばれず、胎児発育不全や常位胎盤早期剥離、子宮内胎児死亡ということがおこってしまいます。
妊娠高血圧症候群になってしまった場合、病院では高カルシウム食が勧められています。
カルシウム不足で痙攣やかゆみも?
低カルシウム血症といって、カルシウム不足から、血液中のカルシウム濃度が低くなってしまい、感覚異常が出る病気があります。
これは、手足の痺れや顔面筋の痙攣症状が起こります。
カルシウムの過剰摂取にも注意!
また、過剰摂取にも注意が必要です。
カルシウムの過剰摂取は、高カルシウム血症と言って、皮膚のかゆみや吐き気、便秘などを引き起こします。
不足しても、摂りすぎてもいけませんので、サプリメントなどで摂取する場合は、上限の2300mgを超えないように注意が必要です。
妊活中のカルシウムの摂り方
カルシウムが含まれる食材は、
牛乳、煮干し、干しエビ、ヨーグルト、チーズ、豆腐、ゴマ、モロヘイヤ、小松菜、イワシ、サケ、サバ、シシャモ・・・
などになります。
また、カルシウムを効率よく摂るためには、カルシウムと一緒に摂った方が良い栄養素があります。それは、
クエン酸、ビタミンD、マグネシウム
の3つになります。
クエン酸はリンゴ・レモン・酢などに、ビタミンDはサバ・イワシなどに、マグネシウムは大豆・ナッツ・玄米などに含まれているので、これらの食材を合わせておかずにしていくと、カルシウムを効率よく骨に蓄えることができます。
特にマグネシウムは、カルシウムの吸収に欠かせないミネラル分として大切なので、是非摂るようにして下さい。
妊娠すると虫歯になりやすいのはカルシウム不足が原因ではない
よく、妊娠すると虫歯になりやすいと言います。
母親の骨から胎児へとカルシウムが渡されることもあって、妊娠中に虫歯になるのはカルシウム不足が原因では?と思われていることが多いようですね。
でも・・・実は、カルシウム不足は全く関係ありません。
妊娠すると虫歯になりやすいのは、次のような理由によります。
まず、妊娠するとホルモンのバランスが変わって、唾液の量が減り、粘り気が強くなるのです。
唾液には口の中の殺菌という働きがありますから、この唾液が減って、変質してしまうことで、歯の汚れを洗い流す力が弱くなるというわけです。
さらに、妊娠期間につきもののつわりも虫歯に影響しています。
つわりで、歯磨きがきちんとできなかったり、嘔吐で、歯が胃酸に触れて、強い酸性によってダメージを受けてしまうことも、妊娠期間中に虫歯になりやすい理由のひとつです。
その他にも、妊娠期間中に間食が増加したり食事の時間が不規則になって、口の中が汚れやすくなること、女性ホルモンを好む歯周病菌がいるため、歯肉炎が起こりやすいことなども虫歯の原因になるようです。