妊活のハラスメント「プレ・マタハラ」とは?対処法や考え方は?
不妊治療や妊活をしていると、時々、遭遇するのがハラスメントです。
子供が欲しい既婚者に対して、職場の同僚や上司、先輩や後輩から心ない言葉をかけられたりすることなのですが、「プレ・マタハラ」と呼ばれるようになってきています。プレ・マタハラとは具体的にどういったことがあるのでしょうか。
また、ハラスメント行為を受けた時、会社を辞めるのが最良の選択なのか迷います。一部の企業では無給で休業できる制度を取り入れています。プレ・マタハラに遭遇した時、どんな考え方をするのがいいのでしょうか。
妊活におけるハラスメント「プレ・マタハラ」
妊活をしている女性、不妊治療をしている女性に対しての配慮はまだまだ足りないのが現実。
例えば、男女雇用機会均等法第9条では「婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止」があります。妊娠や出産で解雇されることはありません。ただ、妊活している女性、不妊治療の女性に対しては、「〇月から〇月まで」と期限を設けて妊活期間を申請することができないため、職場の理解を求めるしかありません。
そこで問題になっているのが、プレ・マタハラという言葉です。
プレ・マタハラの問題点と実例
不妊治療をしていると仕事とプライベートとの両立が難しいです。
妊活として不妊治療のため、産婦人科に行っても待ち時間が長く、定期的に通って注射や問診、治療が行われます。病院に通うのも負担があり、そのために有給を使うとしても周囲の協力が必要です。
正社員で働いていても、休日が取りにくいと感じた人は非正規社員やパートになり、自由に休みを取得できる職業を選ぶ人が多くなっています。キャリアのある正社員でも退職する人も多く、不妊治療、仕事のどちらかの究極の選択を迫られた人も多いです。
男性管理職だと生理や妊娠、妊活や不妊についても無知なことがあり、ハラスメント行為を知らない間に行っている人もいます。
プレ・マタハラの実例①
不妊治療のことを男性上司に相談したところ「今は子供を作らないでほしい」と面談時に言われました。仕事でプロジェクトが終わるまではやめてほしいとのことです。ただ、プロジェクトが終わったら、また次のプロジェクトがあり子供を持つタイミングがありません。
仕事が好きだったものの、子供を産むリミットがあり正社員を辞めて妊活をすることにしました。
プレ・マタハラの実例②
仕事量は残業をしないとこなせないほどです。赤ちゃんがほしいと思って不妊治療をはじめましたが、不妊治療のために有給を使って休むと、翌日の仕事量が増えてしまい、翌日から数日間は確実に残業必須。家事もできず残業続きで妊活自体がストレスになっていきました。
会社には仕事量の少ない部署への配置転換を希望し、異動届けの申請をしたが配慮はありませんでした。
プレ・マタハラの実例③
保育士として働いています。早朝勤務もあり、延長保育のための夜間勤務もあります。交代制で土日の出勤もあり、人手が常に足りない状況です。いわゆる「妊活当番制」があります。先輩の保育士が現在育児休暇中。妊娠と出産の休みは交代で取得しないといけません……。
うっかり子供ができてしまった保育士は、空気を読んでいないと周囲から陰口。
私も先輩が戻ってくるまでは妊活を始められない、休むことができないと考えてしまい、妊活に踏み切れない自分がいます。
プレ・マタハラへの対処法は?
プレ・マタハラの原因は
- 男性管理職の理解力不足
- 仕事量の絶対的な多さ
- 人材不足
が主な原因です。そして、不妊治療のためにいつまでの配慮をしなくてはいけないか、明確な数値が出ないこともハラスメントにつながりやすいです。その上、妊娠すると出産、育児で休暇を取得しなくてはいけないため、周囲を考えると妊活自体にも踏み切れない女性がいます。
不妊のための妊活制度を取り入れた企業もある
一方で、不妊の治療に専念できる企業も増えてきています。
日本航空株式会社(JAL)では、2016年から不妊治療休職制度を実施。制度では、高度な不妊治療(体外受精、顕微授精)が対象ですが、「1年間、無給の休職期間を取得」でき、医師の診断書を提出すれば休業することができます。日本航空株式会社では、全社員が利用でき客室乗務員も利用できます。
企業自体が妊活に協力的だと、休業も取得しやすく、制度を利用して妊活をするチャンスもあります。
妊活していることを伝えることが大切
不妊治療をするためにキャリアを捨ててパートや無職になる女性もいます。しかし、仕事を変えたとしても次に「金銭的な余裕がなくなる」こともあります。正社員で仕事内容に不満はないのなら、ある程度はガマンすることも妊活には必要。夫婦で共働きなら高度不妊治療が受けられた人も、1馬力、旦那さんの稼ぎだけでは体外受精や顕微授精を受けることができないこともあります。
不妊治療に対して、周囲の協力が得られるかどうかは難しい問題ですが、休みを取得しなくてはいけないことや妊娠した後のことを考えても、上司や周囲に妊娠したい気持ちを伝えておく必要があります。
プレ・マタハラに負けずに克服した例も
不妊治療をしたいと考えている女性でも、プレ・マタハラを克服した例もあります。
妊活したいと思い切って上司に相談したところ、異動させてもらえたり定時で帰宅できる日を設けてもらえた人もいます。産休や育休のようにまだ制度として整っていない企業が多い不妊治療による休業。まだまだ仕事と不妊治療の2つを両立させることは難しいかもしれなく、だからこそプレ・マタハラという言葉が発生していますが、辞める前に上司に相談してみるなどしてみましょう。
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