【妊活体験記】体外受精は予想以上にお金がかかります
妊活心理カウンセラーの今井さいこです。
今でこそ妊活についての知識があり、妊活中の女性やご夫婦のカウンセリングをしている私ですが、自分が妊活を始めたころは全くの無知でいろいろと遠回りをしてきました。
妊活のキーワードとなる言葉と共に私の妊活体験記をお伝えし、遠回りをしない妊活をしてもらえたらと思い、体験記を書くことにしました。
今回は、「体外受精」についてお話しします。
【著者 今井さいこ】
LIB Laboratory 代表
NPOハピマムプロジェクト 理事
高校生の時「環境による心への影響」に興味を持ったことから、大学で心理学を専攻。臨床心理学を中心に認知心理学、知覚心理学、行動心理学、生物心理学、発達心理学を学ぶ。その後、社会人としてベンチャー企業に勤める傍ら、心理カウンセラーとしての勉強と実践を積み、2009年より女性向けの個人向け心理カウンセリングを開始。自身の妊活経験で「妊活中も、妊活以外の女性としての楽しみを充実させたい」と感じたことから、2013年より妊活女性・ご夫婦向け心理カウンセリングを開始。現在、妊活中のメンタルケアだけでなく、産後女性のメンタルケアも行なっている。
私が次のステップにスムーズに進めた理由
4ヵ月半も待ち、ようやく初診の日を迎えました。
初診は絶対に夫婦で行く!と決めていたので、2人でドキドキしながらクリニックの扉をくぐりました。
とてもきれいなクリニックにソファがすべて埋まるほどの患者たち。
人が多くいるのにしーんとしている待合室。
独特な雰囲気だなと思いました。
初診で今でも覚えているのは、過去3ヵ月薬を一切服用していなかったので、すぐに治療に進めるという話です。
転院してきた患者の中には、前の治療で飲んだ薬の影響が出る可能性がある場合、薬の影響がない状態にするまで3ヵ月待ってから治療を始めるのだそうです。
4ヵ月半も待って、さらに3ヵ月も待つことがあるのかと驚きましたが、体外受精の値段を考えると万全の状態で臨みたいところ。
その状態を3ヵ月待たずにできることに、まずホッとしました。
どんどん飛んでいく諭吉先生
治療に進めるとはいえ、その前に検査があります。
私たちが想定外だったのは、この検査代。
具体的な治療に入る前に、10万円ほど検査代で吹き飛びました。
不妊治療はほとんどの検査が自費です。
そのことは理解していましたが、毎回お金を払っているとだんだん感覚が麻痺していき、会計が4桁の日は「今日は安いな」と思うようになりました。
また、私が通院したクリニックは当時クレジットカードが使えなかったので、毎回、旦那が大金をおろしてクリニックへ向かっていました。
あんなに頻繁に大金をおろしていたのは、後にも先にも不妊治療中だけです。
検査代、薬代など、クリニックのホームページに掲載されている以外にもお金がかかるので、そのことを頭に入れておくとよいと思います。
採卵のための薬の影響
薬はほとんど使わない方針のクリニックでしたが、採卵のために薬を使うことになりました。
いよいよ治療が始まったと思うと、よい意味での緊張感も生まれました。
高いお金を払っているんだから、自分のミス(薬の飲み忘れ)で治療をゼロにすることはしたくない、と。
風邪の時には薬を処方されても飲んだり飲まなかったりする私ですが、この時は毎日アラームを設定して飲み忘れないよう工夫しました。
辛かったのは、薬の副作用。
顔や体がむくんだり、だるくなったり、自分ではどうしようもないことにとてもストレスを感じました。
それでも、診察のたびに「採卵に向けて順調に進んでいます」と言ってもらうと全てが報われる気がしました。
想定外だった採卵
採卵当日は、偶然年末の休みと重なり、旦那が付き添ってくれました。
医師から、おそらく3個ほど卵が取れると思います、との説明を受けていたのですが、当日の検査をすると、なんと7個も採卵できたのです。
これが良いことなのか悪いことなのか・・・素人には判断ができずにとても戸惑いました。
また、私のクリニックは麻酔をしない採卵方法だったので、3個目ぐらいまでは我慢ができた採卵が、回数を重ねるにつれだんだん痛くなってきて、それがつらかったです。
それでも、まだ我慢ができる範囲でした。
なんとか採卵も終わり、回復室で横になってから帰りました。
この時出された薬が全く体に合わず、水を飲んでも嘔吐してしまうありさま。
水分も取れない状態が辛すぎてクリニックに電話をして、「薬を止めたい」と相談をし、薬は中断することにしました。
幸い、薬を中断しても体は順調に回復をし、1ヵ月後には卵を戻すことができました。
緊張の分割確認
採卵した卵が多かった理由を確認しましたが、薬や体調の関係で深い理由はないということでした。
また、採卵した7個の卵はどれもグレード(状態)が良く、期待できるものであるという説明も受けました。
その後は、培養士さんによって体外受精が行われ、無事受精したものは胚盤胞(受精卵が分割を繰り返した状態)になるまで待って、その後凍結されました。
毎日指定された時間に、分割が進んでいるか確認の電話をするのですが、それがとても緊張しました。
7個のうち1つは途中で成長が止まってしまいましたが、6個は無事凍結まででき、とてもホッとしたことを覚えています。
電話をしながらいつも思っていたのは、ここまでくると自分たちの意志とは離れたところでことが進んでいるんだな、ということです。
「賽は投げられた」そんな言葉がぴったりとくる感覚でした。
卵が戻ってきた!
採卵から1ヵ月後、受精卵を1つ子宮に戻しました。
その間、薬は一切出されず、体が本当に楽になりました。
採卵の時はあんなに痛かったのに、卵を戻すのは何の痛みもなく、本当に戻ったのか、とても不思議でした。
受精卵を子宮に戻す様子は処置を受けながらリアルタイムで映像を見せてもらい、貴重な体験をしたな、と思います。
その後、無事妊娠に至り、私はクリニックを卒業しました。
体外受精の体験談は、きっと100人いれば100通りの体験談が聞けるのだと思います。
少しでも参考になればうれしいです。