妊娠中にはしっかり鉄分を!

鉄分は胎盤や赤ちゃんの血液を作るために母体から優先的に使われますので、妊娠中はどうしても不足しがちです。

30代、40代女性の鉄分推奨量が10.5gであるのに対し、妊娠中期に入ると推奨量が25.5gとぐんと増えます。
多くの鉄分やたんぱく質を赤ちゃんが必要としますので、鉄分の補給が追いつかなくなります。

鉄分が不足しすぎると、鉄欠乏性貧血となります。
貧血が重症の場合、高齢出産では特に微弱陣痛や分娩時の異常出血、産後の回復遅延、母乳の出が悪くなるといったことが心配されますので早めの貧血対策をとりましょう。


スクリーンショット 2015-12-22 20.26.10監修:一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)
代表理事 岡田明子

全国500名の栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のコンサルティング、セールスサポート、講演、研修、執筆などの健康事業の企業サポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。
HP:http://ns-labo.jp/
ブログ:http://ameblo.jp/dietician-aki/


食事で鉄分をしっかり補給

肉類・魚介類に含まれるヘム鉄

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吸収率の良いヘム鉄は動物性食品の肉類や魚介類に多く、特にレバーに多く含まれていますがレバーにはビタミンAも豊富に含まれています。

しかし、ビタミンAを摂り過ぎると、お腹の赤ちゃんの奇形のリスクを高めることがわかっていますので、レバーが貧血に良いからといって毎日摂取するのは良くありません
目安としては週に1度くらいにしましょう。

植物性食品に含まれる非ヘム鉄

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一方、非ヘム鉄を豊富に含む植物性食品は、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜、ひじき、ゴマ、レーズンなどです。

植物性食品は動物性食品に比べて吸収率が悪いため、肉、魚、卵といった動物性タンパク質やビタミンCが多く含まれるブロッコリーやパプリカ、トマトなどと一緒に摂ると鉄分の吸収が高まります。

鉄分は、いろいろな食品を組み合わせて摂ることが大切

このように鉄分を多く含む食材はたくさんあるので、1つの食材から摂るのではなく、鉄分の多い食材を組み合わせることで吸収も良くなります
また、酢や柑橘類、梅干しなどの食欲を増進させる食品は、料理に加えることで胃液の分泌を促し、鉄の吸収を高める効果があります。

イワシの梅煮、あく抜きしたほうれん草や小松菜の卵焼き、ひじきの煮物には小さく切った鶏肉を加えたり、パンはレーズン入りのパンを選んでみたりとちょっとした工夫をするだけでも鉄分の補給は可能です。

鉄分は吸収されにくい栄養素なので、毎日の食事で補っていくことが大切です。





調理器具でも鉄分摂取

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鉄製の鍋やフライパンなどを調理に使うと簡単に鉄分が吸収できます。

微細な鉄錆が料理に加わることになるからです。
特に酢やケチャップなど酸味のある調味料を使うと鉄分が溶け出しやすくなります。

たっぷりの野菜とトマト缶を使い、トマトケチャップで味付けした豚肉と豆類を鉄製の鍋でじっくり煮込むことで、美味しく効果的に鉄分が摂取できます。

鉄の吸収を阻害する食品

玄米

玄米はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富ですが、玄米の皮に含まれるフィチン酸が鉄分の吸収を阻害します。

発芽玄米に替えると栄養素は変わりなく摂取でき、鉄分吸収の阻害を防ぐことができます

ハムやソーセージ、加工食品など

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ハムやソーセージ、加工食品、インスタント食品などに含まれる食品添加物も鉄分の吸収を阻害します。

ハムやソーセージは手軽で便利な食材のひとつなのですが、塩分も多いのでなるべく控えていきましょう。

ほうれん草

ほうれん草のアクの成分であるシュウ酸も鉄の吸収を妨げますので、しっかりと茹でこぼしてアクをとって摂取していきましょう。

コーヒー、緑茶、紅茶など

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コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるタンニンは、食事で摂った鉄と結合して鉄分を体外に排出してしまいます。
食事中の同時摂取は避けて、食後30分程度あけるようにしましょう。

これらの食材は同じ栄養価で代わりになるものを使用する、食べ過ぎない、鉄分を多く含む食品と組み合わせない、調理の段階で取り除く、時間をずらして摂取するといった工夫が必要です。

血液は、鉄分だけでなく、タンパク質やビタミンB群、ビタミンC、銅などから作られています。
鉄分を上手に摂取することはもちろん大切ですが、栄養バランスの良い食事が貧血改善にはなにより大切なので、基本のバランス食をベースにして鉄分補給も意識していきましょう。


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