出生前診断 | 胎児の染色体異常を調べる検査
出産年齢が上がるにしたがって、胎児に染色体異常が見つかる確率は増えてしまいます。
染色体異常がある場合、赤ちゃんが障害を持って生まれくる可能性があります。
この可能性がどのくらいあるのか?を、産まれる前に調べるための検査があって、これを出生前診断と言います。
高齢になるほど染色体異常の確率が増えてしまう
下の表は、年齢別に、胎児が染色体異常となってしまう確率とダウン症の子供として生まれる確率を表にしたものです。
母年齢 | 20歳 | 25歳 | 30歳 | 35歳 | 36歳 | 37歳 | 38歳 |
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染色体異常 | 1/526 | 1/476 | 1/384 | 1/192 | 1/156 | 1/127 | 1/102 |
ダウン症 | 1/1667 | 1/1250 | 1/952 | 1/385 | 1/294 | 1/227 | 1/175 |
母年齢 | 39歳 | 40歳 | 41歳 | 42歳 | 43歳 | 44歳 | 45歳 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
染色体異常 | 1/83 | 1/66 | 1/53 | 1/42 | 1/33 | 1/26 | 1/21 |
ダウン症 | 1/137 | 1/106 | 1/82 | 1/64 | 1/50 | 1/38 | 1/30 |
このデータを見ると、高齢になるほど染色体異常やダウン症のリスクが高くなっていることが分かると思います。
胎児が染色体異常になると、どうなるのか?
胎児に染色体異常であることが分かった場合、ほとんどのケースでは生まれてくることが出来ません。流産や死産となってしまうことがほとんどです。染色体の状態によっては、無事生まれてくることが出来るケースもあるのですが、この一例がダウン症候群やエドワード症候群の子供になります。
この確率が、年齢が上がるにしたがって高くなってしまうというわけです。
胎児の染色体異常を調べるのが出生前診断
胎児の段階で、染色体異常があるのかどうかを調べる方法を出生前診断と言います。
ただ、出生前診断は、胎児の染色体異常を調べた後に、産むのを諦めるケースも出てしまうため、医師から勧められることはほとんどないのです。しかも、染色体異常が見つかった場合でも、医師からのアドバイスはほとんど受けることが出来ません。
そのため、出生前診断を受ける前に、「もし、思わぬ結果だったらどうするのか?」ということをしっかりと夫婦で話し合っておくことが必要です。
出生前診断の種類
出生前診断は、医師からは勧められることはあまりありません。事前に知識を持ったうえで、自分から医師に質問しないとなりません。そのため、出生前診断について受診を考える場合は、予め「どんな検査があるのか?」「何が分かるのか?」については、おおよそのことはわかるようにしておきましょう。
母体血清マーカー検査とNT検査
母体血清マーカー検査は、大概の医院で、最初に行う検査です。母体にも胎児にもリスクが無いのですが、染色体異常に関してはザックリとした確率しかわかりません。これにNT検査と言う「胎児の首の後ろのむくみ」をチェックする方法を加えた検査が近年増えてきています。これによって、染色体異常に関して、より確度の高い情報が分かるようになりました。
ただし、この検査はどちらもリスクが無い代わりに、染色体異常に関して、確定的なことはわかりません。そのため、この検査で染色体異常が高いという結果が出た場合には、次の羊水検査や絨毛検査に進むケースが多いようです。
羊水検査と絨毛検査
一般的には、母体血清マーカー検査やNT検査で染色体異常の確率が高いと判定された人が、より確度の高い診断を受けるために行う検査が羊水検査や絨毛検査になります。
羊水検査・絨毛検査ともに、母体や胎児へのリスクがあります。感染や流産のリスクです。その代り、血清マーカー検査よりも確度の高い、「確定診断」を受けることが出来ます。
着床前診断と新型出生前診断(NIPT)
日本ではまだあまり行われていない出生前診断の方法として、着床前診断と新型出生前診断というのがあります。
着床前診断は、体外受精をした後、受精卵が4分割、または8分割になった段階で、受精卵の一部をとって染色体異常の検査をするものです。日本では倫理上の問題から、ごく一部の例外を除いて、認められていない検査です。
また、新型出生前診断(NIPT)は、今までの検査に比べて、リスクもなく確度の高い検査ができるということで、最近、マスコミで話題になったものです。ただ、この検査も決して万能と言うわけではなく、日本では実施している医院も少ないです。