妊娠高血圧症候群 | 高齢出産ではリスクが高まる
妊娠高血圧症候群という病気、聞いたことありますか?
昔は「妊娠中毒症」と呼ばれていた病気のことで、母親にとっても、胎児にとっても死につながりかねない、とても怖い病気です。
特に35歳以上で妊娠している人の場合、発症率がとても高くなると言われています。
一方で、妊娠高血圧症候群は、日々の努力の積み重ねによって、回避することも可能です。
できることは全部やって、できる限り予防に努めたいですね。
妊娠高血圧症候群とは?
妊娠中に高血圧になる病気
妊娠高血圧症候群というのは、簡単に言うと
妊娠20週以降に高血圧があらわれ、産後12週までに血圧が正常になる
病気です。
蛋白尿を伴うこともあります。
なぜ、この病気が怖いのかと言うと、母親の体にも胎児にも、最悪死を伴うような重大な影響が出るからなんです。
昔は妊娠中毒症と呼ばれていた
ちなみに、この病気は、昔は「妊娠中毒症」と呼ばれていた病気です。
その頃には、高血圧・蛋白尿・むくみのいずれかの症状があると「妊娠中毒症」と診断されていたようなのですが、最近の研究では、先ほど書いた「母体や胎児への悪影響」が出るのは、「高血圧」が問題の中心だとわかってきたため、呼び方が変わって、「妊娠高血圧症候群」になったそうです。
そのため、今では、血圧が正常であれば、蛋白尿やむくみがあっても問題無いとされるようですね。
また、重大な事態になる前に自覚症状がほとんど無いので見つけづらい病気である他、出産後に、生活習慣病になる可能性が高いようなので注意が必要です。
なぜ妊娠高血圧症候群になってしまうのか?
では、妊娠高血圧症候群の原因はなんでしょうか?
実は、妊娠高血圧症候群の原因は、まだ正確にはわかっていないんです。
ただ、「日本妊娠高血圧学会」のホームページによると、次のようなことが原因である可能性があるそうです。
妊娠すると、子宮には胎盤が作られます。
この胎盤を通じて、母親と胎児の間では、酸素や二酸化炭素、栄養分や不要物のやり取りをするわけです。
ところが、胎盤が作られた時に、母親と胎児をつなぐ血管がうまく作られていないことがあるようで、そうなると、母体から胎児へ酸素や栄養分をうまく運ぶことができなくなります。
その結果どうなるかというと、栄養分も酸素も不足するわけですから、胎児は発育不全になってしまいます。
そのため、母体は、無理に胎児へ血液を流そうとするので高血圧になってしまうということなんです。
また、いくつかのクリニックのホームページには、葉酸不足を妊娠高血圧症候群の原因として指摘する記事もありました。葉酸不足による妊娠高血圧症候群のリスクについてはコチラに書いてありますので、良かったら読んでみて下さい。
妊娠高血圧症候群の胎児への影響は?
発育不全や低出生体重児のリスク
さて、妊娠高血圧症候群の赤ちゃんへの影響は重大です。
まず、前にも書いたように、「胎児発育不全」と言って、胎児が十分に育たなくなる可能性があります。
その結果、低出生体重児と言って、体重の少ない赤ちゃんが生まれることがあり得ます。
また酸素不足が原因となり、赤ちゃんの脳にも影響がでることがあるそうです。
帝王切開の可能性も
また、怖いのは、お腹のなかで赤ちゃんが亡くなってしまう(子宮内胎児死亡)可能性があるということ。
胎児を助けるため、帝王切開で出産せざるをえなくなることもあるそうです。
妊娠高血圧症候群の母体への影響
妊娠高血圧症候群の母体への影響で怖いのは、種々の合併症のようですね。
まず、「子癇」つまり痙攣(けいれん)があります。
この妊娠高血圧症候群の合併症としての子癇は、妊娠20週以降に初めて起きたけいれん発作を指すようです。
また、HELLP症候群と言って、血液中の赤血球が壊れ、肝機能が悪化し、血小板が減少する病気があります。
他にも、「常位胎盤早期剥離」と言うのがあって、これは、胎盤が子宮の正常な位置に付いているのに、胎児が出産される前にはがれてしまうという病気です。
いずれも、症状がひどい場合には、母親・胎児ともに、命の危険にさらされてしまう可能性があります。
妊娠高血圧症候群に「なりやすい」人
高齢出産や初産の人は要注意
妊娠高血圧症候群がとても危険な病気であることが分かると思いますが、実際、どんな人が妊娠高血圧症候群になりやすいのでしょうか。ここは、とても気になるところです。
まず、注意しなければならないのが、高齢出産を控えている人。
35歳以上で発症率が高くなり、40歳以上になるとさらに危険度が高まります。
さらに、初めて出産を経験する「初産婦」に多くみられるようです。
肥満や普段の血圧も関係あります
また、肥満も大敵で、BMIが25以上だったり、非妊娠時体重が55kg以上だと発症率が高いようですね。
※BMIについてわからない人はコチラを参照して下さい。
元々血圧が少し高めで、非妊娠時または妊娠初期の収縮期血圧が 130~139 mmHg、あるいは拡張期血圧 80~89 mmHgの妊婦や、血縁者に妊娠高血圧症候群や高血圧の人がいる場合、さらに前回の出産時に妊娠高血圧症候群だった場合なども、妊娠高血圧症候群になりやすいというデータがあるようです。
妊娠高血圧症候群の予防方法は?
日本妊娠高血圧学会のホームページによると、妊娠高血圧症候群の予防方法は、まだ確たるものは無いようです。ただ、クリニックのホームページを色々と見ると、以下のようなことが書いてあります。
- 食事に気を付けて、適正体重を保ち、塩分を摂りすぎないこと。
- 睡眠・休養を十分に摂ること。
- 葉酸の摂取をすること。
実際、妊娠高血圧症候群になると、カロリー制限と塩分制限による食事療法がほとんど。
それなら、最初から適正体重を保つことや、塩分を摂りすぎないことって大切ということなんですね。
また、自分で手軽にできる予防法は葉酸サプリの利用です。
毎日の食事の献立で、「葉酸」を意識し続けるのは、正直大変です。
そこで、葉酸サプリを上手に利用しましょう。
葉酸には血流を良くする働きがあり、高血圧の予防効果もあります。
サプリで、日頃から不足しがちな葉酸を補うのも大切な予防法ですね。