妊娠中は、減塩で美味しく飽きずに!
妊娠中は塩分の代謝機能が低下するため、塩分を摂りすぎると妊娠高血圧症候群のようなトラブルを招きやすくなります。
日本の食生活には、味噌や醤油、漬物などの塩分を多く含むものがあります。
医師の指示がない方は過剰な塩分制限は必要ありませんが、使い方を工夫しましょう。
《著者紹介》
工藤有希
2001年、日本大学短期大学部食物栄養科卒業後。栄養士として病院に勤務しながら管理栄養士資格を取得。その後、高齢者介護施設で管理栄養士として勤務し栄養ケアマネージメント等に従事。妊娠、出産を機に退職。現在は、育児の傍ら特定保健指導や健康アドバイザーとして活動中。妊娠中の体重増加や高血圧、子どもの便秘や度重なる体調不良を食生活で改善した経験から、栄養管理の重要性を再認識。これからも管理栄養士として、様々な方々のお役に立ちたいと勉強に育児に奮闘中です。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は高齢出産では最も要注意です。
原因の一つに塩分の摂り過ぎが挙げられます。
体質や年齢も一因ですがこれらを変えることはできません。
食事で予防しましょう。
妊娠高血圧症候群になると、胎盤の状態が低下して赤ちゃんに充分な酸素や栄養を送れなくなります。
発育遅延や早産を招き、重症化するとママと赤ちゃんの命に関わります。
重ならない!がポイント
漬物や佃煮、練り物、ハムや干物などの加工食品、煮物類は重ならないようにするのがポイントです。
ハムやソーセージは添加物も多いのでメインのおかずにするのは避けましょう。
使う場合には、刻んでスープや炒め物の風味付け程度にすると塩分を抑えられます。
漬物も少量を刻んで和え物やドレッシングにすると良いです。
煮物は塩分の多い調味料を使う料理です。
煮物の翌日は炒め物や焼き物にするなど、調理方法に変化をもたせることで塩分摂取量を控えられます。
体は正直
私たちの体は、体内の塩分濃度をおよそ一定に保とうとします。
喉が乾くようであれば、塩分の多い食事だったということです。
体は正直に反応します。
このような場合には、食事の塩分を見直しましょう。
減塩の味方
塩分の多い調味料の使用量を減らすにはだしを効かせることです。
昆布やにぼし、干ししいたけは一晩水につけておくと充分なだしが出ます。
さらに鰹節や小エビなどを加えて汁物や煮物や炒め物を作ると、調味料を加えなくても充分に美味しくなります。
だし汁を作っておく習慣は今後の離乳食に大いに役立ちます。
味にメリハリを
わさびやしょうが、コショウや唐辛子、カレー粉などの香辛料は風味と辛味はありますが、塩分は含みません。
チューブのわさびは少量の塩分や添加物を含みますので、粉わさびを用いると減塩効果がアップします。
また、レモンや酢、ゆずなどを使っても塩分を控えて美味しく食べられます。
香辛料や柑橘類、酢を使った料理を食事に加えると、醤油や味噌が重複せず塩分摂取量を抑えられます。
味にメリハリも生まれます。
塩分を排出する食材を一緒に摂る
塩分はカリウムというミネラル成分とバランスをとりながら体内に存在しています。
塩分過多の場合にはカリウムが余分な塩分を体外に排出してくれます。
カリウムは野菜、海藻類、果物などに多く含まれます。
味噌や醤油を使う料理には海藻類や野菜をたっぷり入れると、体内の塩分濃度を調整してくれます。
簡単梅肉蒸し
材料(4人分)
- 豚もも肉・・・320〜400g程度
- もやし・・・1袋
- えのき・・・1袋
- しめじ・・・1袋
- しょうが・・・大1かけ (A)
- 大葉・・・10枚 (A)
- 梅干し・・・大2個 (A)
- 鰹節・・・小2袋 (A)
- 酒・・・大さじ2 (A)
作り方
- えのきとしめじは食べやすい大きさに切る。
- 大葉、種を抜いた梅干しは細かく刻み、しょうがはすりおろす。Aの調味料を混ぜておく。
- フライパンにもやしとえのきを敷き詰める。その上に豚肉を1枚ずつのせる。さらにしめじをのせて、混ぜておいたAをかける。
- 蓋をしてとろ火で蒸し煮にする。20分ほど経ったら蓋を開け、豚肉の赤みがなくなっていれば出来上がり。よく混ぜる。
たんぱく質を含む豚肉、ビタミン、ミネラル類を含むもやしやキノコが揃っていますので、ごはんをプラスするだけで栄養バランスは整います。汁まで一緒に食べても美味しいです。
これまで濃い目の味付けだった方は、急に減塩すると食事の満足感が低下したりストレスにもなりかねません。徐々に薄味に慣れるために1品から始めましょう。