妊娠中の摂り過ぎには気をつけたい「ビタミンA」

ビタミンAは妊娠中の感染症予防にも役立つ栄養素ですが、過剰摂取にも気をつけたい栄養素です。


《著者紹介》
Fotolia_74568924_XS工藤有希
 2001年、日本大学短期大学部食物栄養科卒業後。栄養士として病院に勤務しながら管理栄養士資格を取得。その後、高齢者介護施設で管理栄養士として勤務し栄養ケアマネージメント等に従事。妊娠、出産を機に退職。現在は、育児の傍ら特定保健指導や健康アドバイザーとして活動中。妊娠中の体重増加や高血圧、子どもの便秘や度重なる体調不良を食生活で改善した経験から、栄養管理の重要性を再認識。これからも管理栄養士として、様々な方々のお役に立ちたいと勉強に育児に奮闘中です。


ビタミンAの二つの顔?!

新鮮な野菜と果物

ビタミンAは大きく分けて2種類あります。

1つは、レバーや魚の肝類、うなぎや乳製品などの動物性食品に含まれるレチノール。
もう1つはカロテノイドといって、体内に入って初めてビタミンAの働きを持つものです。

植物性食品である緑黄色野菜の人参、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草、春菊、モロヘイヤなどに多く含まれています。

抵抗力を高め、皮膚などを健康に保つために不可欠な栄養素です。
妊娠初期にはレチノールの過剰摂取に注意が必要です。

ビタミンAで感染症を予防しよう

Woman wearing a mask has a cough

皮膚や口腔、のど、鼻、肺、消化器官などの粘膜を健康に保つ働きをしてくれます。
不足すると粘膜が傷つきやすくなり、抵抗力も弱まるため感染症にかかりやすくなります。

感染症といっても、軽い風邪症状を始め、食べ物からの感染症、風疹、インフルエンザなど様々です。
食事で栄養をしっかりとることと、医療機関での検査や予防接種などで、感染症予防に努めましょう。

また、ビタミンAにはホルモンに似た働きもあります。
細胞の分化と増殖に深く関わるので、赤ちゃんの器官形成に重要な働きをします。

したがって、過剰に摂取するとそれがうまくいかず、奇形の原因にもなります。
特に高齢出産でリスクの高くなる染色体異常をはじめ、胎児の奇形は流産の原因にもなりかねません。





危険な「ばっかり食べ」

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脂溶性ビタミンは胎盤を通りやすく、赤ちゃんに届きやすい栄養素のひとつです。

動物性食品に含まれるビタミンAは脂溶性ですから、過剰摂取は禁物です。
貧血予防のために毎日レバーを食べるという人などは注意が必要です。
特に妊娠中は「そればかり食べる」というような偏食を避け、バランスを考えた食事を意識しましょう。

ビタミンAは緑黄色野菜などの植物性食品から積極的に摂り入れましょう。

油と仲良し

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植物性食品に含まれるカロテノイドは、体内で必要な量だけのビタミンAに変わるので、過剰摂取の心配がありません。
動物性食品のビタミンAが80〜90%の吸収率であるのに対し、植物性食品の方は10〜30%と吸収率も低いのです。

油脂類と一緒に摂ることで吸収率が高まります。

カロテノイドだけじゃない野菜を摂るメリット

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緑黄色野菜の中でもカロテノイドが多く含まれるのは、にんじん、ほうれん草、小松菜、かぼちゃなどです。

酸化しにくいオリーブオイルやごま油、キャノーラ油で炒めたり、油を加えてドレッシングにすると吸収率がアップします。
胎盤も通りやすくなりますし、赤ちゃんに必要な量だけ行き届きます。

また、野菜は種類によってカロテノイドの他にもビタミンCや、葉酸やカルシウムなどをそれぞれ含みますので、多種類の野菜を満遍なく食事に取り入れることをお勧めします。

ポカポカビタミン丸ごとスープ

材料 4人分

  • にんじん・・・小1/2本
  • 小松菜・・・1/2袋
  • 生姜・・・1かけ
  • ゴマ油・・・大さじ1
  • もめん豆腐・・・100g
  • 卵・・・1個
  • 塩・・・少々
  • 白ごま・・・少々
  • だし汁または水・・・800〜900cc程度

作り方

  1. にんじん、小松菜、生姜は食べやすい長さに細切りにする。卵は塩を加えてほぐしておく。
  2. 鍋にごま油を敷き、にんじんと生姜を炒める。しんなりしてきたら、小松菜を加えて油に馴染むように混ぜる。
  3. 豆腐は鍋に入れて崩す(味が馴染みやすくなります)。
  4. だし汁もしくは水を加え、沸騰したらほぐした卵を加える。卵が固まったら火を止める。(水を加えた場合、だし汁よりも味が薄く感じるのでお好みで塩を加え味を調整しましょう。)
  5. それぞれを器に盛り、白ごまをつまんで指先でつぶしながら加える。
    (ごまは潰すと風味がアップします)

小松菜はほうれん草に比べアクが少なく使いやすい食材です。

カルシウム、鉄分、葉酸、ビタミンCも多く含みます。
スープにすることで、流れ出てしまう葉酸やビタミンCも汁ごと摂り入れられます。

たんぱく質を多く含む豆腐、卵も使いますので、食欲のない時など、これにご飯をプラスするだけでも栄養バランスが整います。

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