妊娠中にDHAを摂るなら、青魚にお任せ!
DHA(ドコサヘキサエン酸)は高度不飽和脂肪酸といって、イワシやサバ、サンマ、アジなどの青魚に特に多く含まれます。
DHAは生活習慣病の予防や脳の発達に良い影響があり、ママと赤ちゃんにとってそのパワーは五つ星なのです。
食事に肉が多い、魚の調理は苦手・・・という方は必見です。
《著者紹介》
工藤有希
2001年、日本大学短期大学部食物栄養科卒業後。栄養士として病院に勤務しながら管理栄養士資格を取得。その後、高齢者介護施設で管理栄養士として勤務し栄養ケアマネージメント等に従事。妊娠、出産を機に退職。現在は、育児の傍ら特定保健指導や健康アドバイザーとして活動中。妊娠中の体重増加や高血圧、子どもの便秘や度重なる体調不良を食生活で改善した経験から、栄養管理の重要性を再認識。これからも管理栄養士として、様々な方々のお役に立ちたいと勉強に育児に奮闘中です。
ママと赤ちゃんのDHA
魚の脂は肉類の脂と違い、体内で固まりません。
血液中で滞ったものを溶かし、血圧を安定させてくれます。
高齢出産で心配な高血圧症の予防が期待できます。
また、血流が良くなることで赤ちゃんにも栄養が行き届きやすくなります。
赤ちゃんに届いたDHAは、脳細胞の材料となり、神経伝達にも関与します。
妊娠20週頃には赤ちゃんの脳内のDHAの量が増えて神経伝達も発達してくる頃で、ママの声が聞こえたり、胎動を感じるなど急速に成長していきます。
逃さずDHAを摂るために!
DHAは熱を加えると脂肪とともに流れ出てしまいますので、この脂を逃さない調理法が肝心です。
さらに、脂は酸化しやすいので、魚は新鮮なものを選びましょう。
また食べ合わせの工夫でDHAの吸収はアップします。
DHAを酸化から守る!
魚の脂は空気に触れること、時間が経過することで酸化します。
新鮮なものを選び、買ったらすぐに食べるようにしましょう。
DHAが溶け出した脂は体内で酸化しやすいという性質もありますので、抗酸化作用のあるカロテンを含む人参やかぼちゃ、ビタミンCを多く含むトマトや小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜、ビタミンEを含むナッツ類や大豆類などと一緒に食べると効果的です。
DHAを閉じ込めよう!
魚には煮る、焼く、蒸すなど様々な調理方法があります。
どの調理法でも工夫次第でDHAを逃さずに摂ることができます。
煮魚にする場合、煮る時間と溶け出すDHAの量は比例します。
煮立てた汁の中に入れて短時間で煮るのが望ましいです。
煮汁も一緒に食べられるように塩分摂取を考慮して薄味を心がけましょう。
焼いたり蒸したりする時は、緑黄色野菜を加えることで溶け出した脂を野菜に吸収させ、一緒に食べましょう。
料理によっては小麦粉やパン粉をまぶし、少量の油で焼くことで魚の脂の流出を防げます。
まぶす量を少なくすることで油の吸収を抑えますので、カロリーを抑えることができます。
使用する油は酸化しにくいオリーブオイルやゴマ油がお勧めです。
手軽にDHAを
魚の調理は苦手という方、そして妊娠中は特に体調によって新鮮な魚を買いに行けないこともあるでしょう。
魚の缶詰を常備しておくと便利です。
缶詰は空気、水、細菌などが入らないように密封し、完全に加熱殺菌してありますから、食中毒の心配もありません。
もちろん殺菌材や保存料などの添加物も入っていません。
ですが、魚の味付け缶詰は塩分が高めなので、そのまま食べるよりも、野菜類と卵でとじる、生姜と一緒に米と炊くなどのように料理に用いると良いでしょう。
魚の缶詰の中でも塩分が少なめのサバの水煮缶を使ったカレーを紹介しましょう。
《サバのトマトカレー》4人分
材料
- サバの水煮缶・・・1缶(180g程度)
- トマト水煮缶・・・1缶(400g程度)
- 大豆水煮缶・・・1缶(100g程度)
- カレールウ・・・2かけ(40〜50g程度)
- 人参や玉ねぎなどのお好みの野菜・・・適量
作り方
- 野菜類を食べやすい大きさに切り鍋で少量の水で柔らかくなるまで煮る。
- 野菜が柔らかくなったら鯖缶を好みの大きさにほぐして加える。残りの汁にもDHAは含まれているので、汁まで加えましょう。抗酸化作用のあるトマトの缶詰と大豆の水煮缶も加えて煮る。
- 鍋が煮立ったらカレールウを2かけ加えてルウを溶かす。再度に火にかけてお好みのとろみ加減で完成です。
市販のカレールウは塩分や脂質が多く含まれますが、サバの水煮缶の塩分と脂質、トマト缶のとろみが加わり、少量のカレールウでも美味しく、カロリーも抑えることができます。
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