「パタハラ」は無意識に?厚労省の調査から垣間見るもの

今日、2015年11月22日は「いい夫婦の日」。奇しくもその「いい夫婦の日」に、Yahooニュースに気になる記事が出ていました。
職場で行われている、「パタハラ」(パタニティーハラスメント)の存在についてです。

パタハラって何?

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パタニティーと聞いて、「どうせ日本人が作った造語だろう」と思ったのですが、辞書で調べてみると、パタニティーは歴とした英語で、「父性」「父性愛」という意味だそうです。
ハラスメント=嫌がらせですから、パタハラは、父性への嫌がらせ・・・要は、「育児に参加しようとする父親への嫌がらせ」を意味しています。

具体的には、「育休が取れない」「育休を取ろうとするとペナルティーを受ける」といったものですが、これ、ほとんどの男性が「そんなもんだよな・・・」と思っているのではないでしょうか。

パタハラを受けた側は「ハラスメント」と感じるにせよ、パタハラをする上司や同僚は「ハラスメントになっている」という意識はほとんどなくて、むしろ自分たちの行動を「常識」と思っている気がしてなりません。

なんとも辛い話ですが、「子育てに時間を取られるなら、出世できない」「子育てが理由になって仕事を出来ないなら評価を下げる」・・・のは当然でしょ?というのが、一般的な会社の実態だと思うのです。

男性の育児休業の取得状況は、燦々たるもの

パパの育児休業取得の実態

内閣府の資料によると、2013年度の男性の育児休業取得率は約2%になっています。
しかも、そのうち、取得日数が1ヶ月未満の人が約75%にものぼります。

まだまだ、男性の育児休業制度は、ほとんど定着していないと言っても良い状況ですね。

パパの育児への不参加の実態

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結果として、男性の育児への関わり方を示すわかりやすい厚生労働省の調査データがあります。

6歳未満の子どもをもつ夫についての、2011年の調査で・・・

  • 育児・家事関連時間は、67分
  • 共働き世帯で、約8割が全く家事を行っていない
  • 同じく、約7割が全く育児を行っていない

というデータがあります。





政府の進めるイクメンプロジェクトと育休を取れないパパの事情

イクメンプロジェクトとは?

こういった実態に対して、政府は、「イクメンプロジェクト」という運動を推進しています。

イクメンプロジェクトのHPでは、その趣旨を

「イクメンがもっと多くなれば、妻である女性の生き方が、 子どもたちの可能性が、家族のあり方が大きく変わっていくはず。そして社会全体も、もっと豊かに成長していくはずです。」

と説明していて、政府が男性の育児参加を推進するために、プロジェクトをスタートさせていることは理解できます。

パパが育児休業を取得できない割合とパタハラ

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このイクメンプロジェクトのHPの中で、ちょっと気になるデータがありました。

男性の育休取得の実態として、「育休を希望しても利用できない男性の割合が30%」というデータです。
個人的な実感として、潜在的にはもっと多いのではないか?と思うのです。

「育休は取りたいけど、そんなことしたら会社からの評価が下がるのは当たり前だし、育休取るべきじゃないよな・・・」と思って、気持ちを押し殺しているパパ・・・多いんじゃないでしょうか。

パタハラ以上に考えたい「無言の圧力」と「常識」

パタハラとして認識されるものは、問題が顕在化したパターンです。
これは、少しでも早く改めて欲しいし、社会的な問題になることで、企業の側もある程度配慮するようになると思います。

私が問題にしたいのは、パタハラのベースになっている「無言の圧力」と「常識」です。

育休を取得しづらい雰囲気がパタハラの背景にある

Business People Brainstorming Teamwork Success Concept

イクメンプロジェクトには、育休を取得しない理由について、26.6%の人が「取得しづらい雰囲気」をあげています。
これがパタハラのベースにある「無言の圧力」に他なりません。

私の知る限り、多くのビジネスマンは「育休なんて取らないでしょ?」「取るのは構わないけど、競争からは脱落するよね」という感覚を持ち合わせています。
だから、当たり前のように、育休を取ろうとする部下に対しては、こういった感覚を根拠に接することになりますよね。

この価値観は、就職時から「社会人」という名の下に刷り込まれている感覚で、そう思っているビジネスマンにも、パタハラをする上司にも、これが「ハラスメント」にあたるなどとは微塵も思っていないのではないでしょうか。

「業務が多忙だから会社に迷惑かけられない」という感覚が「パタハラ」を助長させる

また、育児休業を取ろうとするパパにしても、「でも、仕事忙しいしな〜・・・社内で迷惑かけられないし・・・」と思っている節はあると思います。

現に、イクメンプロジェクトのアンケートでも、育休を取らない理由として、21.2%の人が「残業が多いなど業務が多忙」をあげています。

この感覚があると、上司から「育休取るなんて、お前、仕事やる気あるのか?」なんて言われたら、泣き寝入りして我慢してしまいますよね。

パタハラの解消は気長に取り組まないとならない話

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パタハラは、表面的な制度を変えるだけで、一朝一夕になくなる訳ではないと思います。

なぜなら問題の根幹には、ここまで書いてきたような、日本人が培ってきた「仕事観」があるからです。

育休を取ろうとするパパ、職場の同僚、上司のそれぞれが、育児や仕事に対する価値観を変えて行かない限りは、パタハラがなくなるとは思えません。

政府は色々な掛け声をかけて、男性の育児参加を促そうとしています。
でも、いつも思うんですが・・・
この政策を考えている政治家や官僚は、育児に参加しているんでしょうかね・・・・?

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