効果に期待!妊娠中の亜鉛の働き
成人の体内に含まれる亜鉛の量は2g程度です。
わずかな量ではありますが、味覚を正常に保ってくれたり、血糖値を調節してくれたり、免疫力の維持や向上にも役立っています。
細胞分裂を日々繰り返す赤ちゃんの成長過程でも大きな役割を果たしています。
あまり耳にしない栄養素かもしれませんが、妊娠中に必要な鉄分、カルシウムなどと同じように、意識して食事に摂り入れていきましょう。
《著者紹介》
工藤有希
2001年、日本大学短期大学部食物栄養科卒業後。栄養士として病院に勤務しながら管理栄養士資格を取得。その後、高齢者介護施設で管理栄養士として勤務し栄養ケアマネージメント等に従事。妊娠、出産を機に退職。現在は、育児の傍ら特定保健指導や健康アドバイザーとして活動中。妊娠中の体重増加や高血圧、子どもの便秘や度重なる体調不良を食生活で改善した経験から、栄養管理の重要性を再認識。これからも管理栄養士として、様々な方々のお役に立ちたいと勉強に育児に奮闘中です。
妊娠中の亜鉛不足が引き起こすリスク
亜鉛は血糖値を下げるインシュリンにも含まれます。
特に高齢出産では糖代謝が低下しやすくなりますので、亜鉛が不足すると血糖値を下げられず、妊娠糖尿病のリスクを高めてしまうことになります。
また、亜鉛不足は味覚障害を引き起こします。
それによって食事に偏りがでてきてしまい、他の栄養素の不足を招く心配もあります。
亜鉛を多く含む食品たち
牡蠣、イイダコ、牛肉、納豆、するめ、煮干しなどに多く含まれます。
これらは普段摂りやすい食品です。
しかし、吸収率を高める食べ方がある一方で、せっかく食べても吸収を阻害してしまう食べ方もあります。
簡単な方法で吸収率を高めて食事に取り入れることが、バランス良い食事を長続きさせる秘訣でもあります。
酸味は亜鉛との相性抜群!
亜鉛は、クエン酸やビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まります。
クエン酸は梅干しやレモン、お酢などの酸味のもとです。
レモンはクエン酸とビタミンCの両方を含みますが、一度に多く食べられるものではありませんので、調味料の代わりに使う頻度を増やすと良いでしょう。
例えば、牡蠣や牛肉のソテーにレモン汁をかけたり、茹でたイイダコを使った野菜サラダにレモンドレッシングをかけたりするとさっぱりと食べられます。
また、イイダコは梅煮にしたり梅酢で食べることでも吸収率が高まります。
梅干しを細かくして納豆に混ぜると、塩分と酸味が程よく効いて、つわりの時でもご飯を食べやすくしてくれます。
さらに、ビタミンCが多く含まれる焼き海苔を散らすことで、クエン酸とビタミンCも一緒に摂れます。
するめや煮干しは一晩水に浸けておくだけで、亜鉛を含んだ無添加の美味しいだし汁になります。
作っておくと、汁物や煮物、炊き込みご飯などに大いに活用できます。
亜鉛を敵から守ろう
玄米の表皮に含まれるフィチン酸は亜鉛と吸着し、体外に排出されてしまいます。
玄米には強いデトックス効果があり、亜鉛をはじめミネラル成分を排出してしまうのです。
玄米を食べる習慣がある方は、白米と混ぜたり、フィチン酸を多く含む表皮を削る「分づき米」にするとよいでしょう。
ホウレン草などのアクの成分である「シュウ酸」も亜鉛の吸収を阻害するものの一つです。
茹でこぼして使うことが必要です。
スナック菓子やインスタント食品に含まれるポリリン酸も吸収を阻害します。
また、スナック菓子やインスタント食品には塩分や脂質や添加物も多く含まれているため、妊娠中高血圧や妊娠糖尿病になるリスクも高めます。
食べる頻度が多いという方はこれを期に見直しましょう。
牡蠣ピラフ
材料(4人分)
- 牡蠣・・・100g
- 塩・・・少々
- キャノーラ油・・・大さじ1
- 玉ねぎ・・・50g
- 赤ピーマン・・・30g
- にんにく・・・一かけ
- パセリみじん切り・・・一房分 (A)
- Aレモン・・・半分 (A)
- A黒胡椒・・・少々 (A)
作り方
- 牡蠣は塩でもみ洗いする。
- 玉ねぎ、赤ピーマン、にんにくはみじん切りにする。
- A以外の材料を全て炊飯器に入れ「炊飯モード」で炊く。
- 炊き上がったらレモンと黒胡椒で味を整え、盛り付ける。
- 仕上げにパセリの葉を散らす。
牡蠣の亜鉛はビタミンCを多く含む赤ピーマンやパセリ、さらにレモンのクエン酸とビタミンCによって吸収率がアップします。
牡蠣の旨味を引き出すためにクセのなく酸化しにくいキャノーラ油を使用します。
黒胡椒とレモンで美味しく食べることができる1品なので是非チャレンジしてみてくださいね!
妊娠中の食事(戻る)