体巡らすビタミンE 〜妊娠中に重要な役割を果たしてくれる〜
ビタミンEはトコフェロールとも呼ばれます。
トコフェロールとはギリシャ語で「子供を産む力を与える」という意味です。
実は、ビタミンEはラットの繁殖実験で初めて発見された栄養素なのです。
ビタミンEを餌に加えたことで不妊だったラットが回復したという実験です。
ビタミンEは妊娠中に重要な役割を果たしてくれる栄養素です。
《著者紹介》
工藤有希
2001年、日本大学短期大学部食物栄養科卒業後。栄養士として病院に勤務しながら管理栄養士資格を取得。その後、高齢者介護施設で管理栄養士として勤務し栄養ケアマネージメント等に従事。妊娠、出産を機に退職。現在は、育児の傍ら特定保健指導や健康アドバイザーとして活動中。妊娠中の体重増加や高血圧、子どもの便秘や度重なる体調不良を食生活で改善した経験から、栄養管理の重要性を再認識。これからも管理栄養士として、様々な方々のお役に立ちたいと勉強に育児に奮闘中です。
もっと手軽に!ビタミンE
脂質と一緒に摂ることで吸収がよくなります。
しかし、一度使用した揚げ油には過酸化脂質が多く含まれ、ビタミンEの抗酸化力を失うことになります。
油の再利用はお勧めできません。
ビタミンEを含む代表的な食品は、アーモンドや落花生などの種実類、菜種油(キャノーラ油)、モロヘイヤやかぼちゃ、大葉などの緑黄色野菜です。
その他、ひよこ豆、大豆、焼き海苔などにも多く含まれます。
ビタミンEパワーで活性酸素を撃退しよう
抗酸化作用は活性酸素から体を守ってくれます。
妊娠中は紫外線によって肌がダメージを受けやすく、活性酸素が増えやすくなります。
妊娠中にシミが出やすいのはこれが原因の一つです。
ビタミンCを豊富に含むブロッコリーやパプリカ、いちごなどを一緒に摂ると、ビタミンCがビタミンEの働きを助けてさらに効果を発揮します。
血行促進でママも赤ちゃんもポカポカ生活
ビタミンEは抹消血管を拡張して血流を良くし、体の冷えや肩こり、腰痛などを予防してくれます。
血流が良くなることで血圧も安定し、高齢出産で懸念される高血圧症の予防にもつながります。
子宮内にも十分な血液が流れ、赤ちゃんにも栄養が行き届きやすくなります。
赤ちゃんは温かいふかふかの子宮ですくすくと成長できるのです。
しかし、ビタミンEですぐに体が温まるとは限りません。
食事には必ず温かいものを取り入れることを意識しましょう。
常備したい野菜たち
体調がすぐれず買い物に行けないこともあると思います。
かぼちゃは切ってそのまま、モロヘイヤや大根、かぶの葉は刻んでもそのままでも茹でて冷凍すれば、2週間程度は美味しい状態を保てます。
スーパーに行くと、かぼちゃやブロッコリーなどの冷凍野菜がありますが、産地が気になる方は購入時によく確認しましょう。
冷凍野菜を常備しておくと、買い物に行けない時に重宝します。
かぼちゃのサラダ
材料(4人分)
- 冷凍かぼちゃ・・・200g
- 冷凍ブロッコリー・・・80g
- 玉ねぎ・・・80g
- 塩・・・少量
- 赤パプリカ・・・40g
- スライスアーモンド・・・大さじ2
- レーズン・・・大さじ2
- 練りゴマ・・・大さじ2(A)
- 味噌・・・大さじ1(A)
- 酢・・・大さじ1(A)
- 人肌くらいのだし汁または湯・・・大さじ2(A)
作り方
- かぼちゃとブロッコリーを耐熱容器に入れ、600wで10分程度加熱する。様子を見ながら潰せる状態まで加熱する。
- 玉ねぎはスライスし、塩もみして水にさらす。辛味を取り除きつつ歯ごたえが残ります。15分程度で水を切ってよく絞っておく。
- 赤パプリカは1口大に切っておく。
- レーズンはオイルコーティングしてあるので、熱湯にさっとくぐらす程度にする。
- (A)をよく混ぜ合わせる。(人肌程度のだし汁や湯を加えることで味噌や練りゴマが馴染みやすくなります)
- 1と5が完全に冷めたらすべてを混ぜ合わせる。
かぼちゃとスライスアーモンドは抗酸化作用のあるビタミンEを含み、ブロッコリーと赤パプリカはそれをパワーアップさせるビタミンCを多く含みますから、活性酸素撃退は完璧といってもいいくらいでしょう。
カルシウムや鉄分などのミネラルを豊富に含む練りゴマと、ビタミンEが豊富な大豆から作られた味噌をマヨネーズの代わりに使うことで、さらに栄養バランスがアップします。
マヨネーズと練りゴマのカロリーはさほど差はありませんが、練りゴマは妊娠中に必要な栄養素を多く含みます。
カロリーばかりにとらわれず、含まれる栄養成分を重視することも大切です。
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