なぜ、卵子の老化がこんなに問題になるのか?

昨今、マスコミでは「卵子の老化」が取り上げられるようになり、妊活の最大の障害として取り上げられるようになりました。

一方で、「なんで今さら、そんなに騒いでいるの?」という疑問の声も随分あるようです。

この記事では、今の日本社会で、これだけ卵子の老化が問題になって騒がれている理由を書いていきたいと思います。

卵子の老化の実情を知らない人が多い

学校で教わった人、教わっていない人、どちらもいる?

テレビ・雑誌・ネット上の書き込みなどを見ると、「年齢とともに卵子は減る」といったことについては、

「学校で習っていた!」
と言う人もいれば

「そんなこと教えてもらっていない!」
って言う人もいるようです。

「卵子の老化について教えてもらったことがあるかどうか」については、人によって随分認識がわかれているようですね。

同じ教科書を使っても、教え方のニュアンスが違う?

これについては、実際に教えていた先生に因るところ大きい気がします。

妊娠・出産のしくみを授業する時に、「妊娠・出産の素晴らしさ」というトピックで話をまとめている先生であれば、知識を伝える中で「妊娠できる期間は限られているから・・・」といったニュアンスで「卵子の数の減少や質の低下」について話しているでしょう。

一方で「避妊をしっかり」というトピックで話をまとめている先生は、「妊娠しやすいから気を付けて」といったニュアンスでの話になり、いずれ「妊娠できなくなる」という部分については生徒に伝わっていない可能性が大きいと思います。

日本の性教育の中心は「避妊」だった?

同じような教科書を使っていたとしても、このあたりは、先生から伝わってくることが、全然違っているのではないでしょうか。

ただ、現実問題として、「卵子の老化なんて、教えてもらったことが無い!」と思っている人が多いことは事実ですね。

実際、これまでの性教育では、「避妊についてしっかり教える」というテーマで授業が行われることが多かったのだと思います。

避妊中心に教える性教育がもたらしたもの

いつまで妊娠できるか?についての誤解

「いかに避妊するか」を中心に教えてきた日本の性教育の結果、少なくとも、今の女性には「いつでも簡単に妊娠わけではない」という知識が備わらなくなってしまいました。

「何歳まで妊娠できるか?」という基本的な知識・感覚がないわけです。

高度不妊治療についての誤解

NHKスペシャルで放映された「産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃」によると、次のような調査と回答があったそうです。

  • 「年齢とともに卵子の老化が進み妊娠しにくくなることを、不妊治療を受ける前に知っていましたか?」
    ⇒4割近くが「知らなかった」
  • 卵子の老化によって、高度不妊治療を受けても妊娠しづらくなることを知っていましたか?」
    ⇒知っていた女性は4割程度
  • 「不妊治療を受ける前、高度不妊治療を受けると何歳まで妊娠できると思っていましたか?」
    ⇒40歳まで:25%、45歳まで:52%、50歳まで:16%

特に、高度不妊治療による妊娠率については、実際は、
40歳で8.1%、45歳で0.7%
なので、一般女性の認識と現実の間に、大きな開きがありますね。
卵子の老化ってどんなこと?に細かいデータを掲載しています。

不妊治療の初診が遅れるのは、間違った認識が原因

この結果、現在の日本は、不妊治療の初診患者の80%が35歳以上という状況になっています。

35歳以降は、自然妊娠の確率が急下降していきますし、37歳を境に、高度不妊治療で妊娠できる確率も急下降してしまいます。

それを考えると、多くの女性が「知識が無かった」ために、不妊治療の開始時期が遅れてしまっているという状況が見えてきますね。

日本の不妊治療助成金の制度には、卵子の老化が意識されていなかった?

不妊治療の助成金制度も、不妊治療の遅れの原因に?

ちなみに、日本の体外受精の妊娠率は50ヶ国中45位(「周産期医学」2012年8月号による)になっています。

これは、他の国に比べて、体外受精の治療を受ける年齢層が高いことが原因のようです。これは不妊治療の助成金制度の影響もあります。

欧米各国に倣って、日本の助成金も変わっていく

これまで、日本では不妊治療を受ける時に国から出してもらえる助成金が、年齢に関係なく申請できました。

ところが、欧米各国では、年齢制限を設けている国も多く、たとえばフランスは42歳まで、スウェーデンでは38歳までという制限があります。「~歳までしか助成金が出ない」となれば、みんな、なるべく早いうちに不妊治療を受けようとしますからね。

結果として、体外受精を受ける人たちの年齢も下がり、体外受精の成功率が上昇するわけです。

日本でも平成28年4月1日以降は、43歳以上の女性には、助成金が適用されなくなりますので、注意して下さい。

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