不妊治療に焦りは禁物

平成28年4月より、体外受精・顕微授精・凍結胚移植など「特定不妊治療」のための助成金支給年齢が43歳以上で開始した場合では適用されなくなりました。

人口受精の場合は1回につき12,000円~15,000円、体外受精の場合は1回につき30~50万円程度の治療費がかかります。
不妊治療には「肉体」「経済」「精神」と3つの苦痛が伴うと言われており、経済的な援助がなくては続けにくいという性質も多分にある治療です。

今回は、主に女性が抱えるこの3つの苦痛から、不妊治療における夫婦関係の在り方を考えてみたいと思います。


小日向様画像【専門家紹介】
小日向 るり子
心理カウンセラー
フィールマインド 代表カウンセラー

「どんな話も否定しないで受け止める」を理念とする組織で電話相談員として活動し、その後もカウンセラーとして約2200件のご相談への対応経験を持つ。「どのような話でも受け止める」ことをモットーとしている。


妻が抱える辛さや悩み

不妊治療における3つの苦痛のうち、経済を除く「肉体」「精神」の部分では、女性側が背負う割合が非常に高くなるのが不妊治療の特徴です。排卵を促す注射の痛み、検査の痛み、薬の副作用はいうまでもありませんが、通院時間や病院での待ち時間も含めると肉体的な負担はかなり大きいものとなります。

実際に、評判の良い病院の場合は待ち時間が3時間を超えることもざらにあるという現状。そのために会社を辞めることになる人も少なくなく、これはもう1つの苦痛である女性の「精神」にも大きなダメージとなってしまうのです。

また、妊娠・出産にはどうしてもタイムリミットがあります。気長にのんびりと治療していけばよいという性質の治療ではありません。そこが他の治療とは異なり女性を益々焦らせてしまう要因となっています。





 

夫婦関係に支障が出てくる過程

当然のことですが、不妊治療は夫婦2人の子供を授かるための治療なのですから夫婦でともに乗り越えていくという姿勢が必要です。

しかし、不妊治療を始めても日常生活がほとんど変わらない男性側にはその自認が薄くなりがちで、そこが肉体的な辛さや日常生活に変化がある妻側とのギャップとなり、夫婦関係に支障が出てきてしまうこともあります。
性交を持つ日だから早く帰宅して欲しいといったのに守ってくれなかったり、不妊治療による肉体的苦痛でベッドに横になっていても家事などを協力してもらえなかったりすると、不満から夫への態度がきつくなったり冷たくしてしまったりするのはよくありがちなことです。
一方の夫側は、なぜそんなに妻が怒っているのかあまり理解できないために不機嫌になってしまうこともあります。

夫婦の絆を保ちつつ不妊治療を継続していくために必要なこと

Asian female doctor with a young coupleこうした、不妊治療において夫が理解してくれないという悩みをネットで経験者の方に相談すると、
「夫に期待なんてしちゃダメ。夫は精子提供者程度に割り切って、自分一人で産んで育てるくらいの気持ちでいかなきゃ」
と叱咤されてしまい、気持ちが楽になるどころか逆に落ち込んでしまったという事例もあります。

経験者の意見は参考になる部分もありますが、誰でも喉もと過ぎれば熱さ忘れるもの。
悩みの最中にいる方には叱咤激励がキツい言葉となることもあります。
現在はインターネットの掲示板などで不妊の悩みや辛さをお互いに打ち明けたり相談できたりもしますが、こうしたツールで逆に落ち込んでしまったという事例も増えています。
ネットでの交流は慎重に行いましょう。
不妊治療ですれ違いが出てきた際に大切なのは、外部相談ではなく、2人できちんと話し合いの時間を持つことです。

話す場合のポイントは2つ。相手の立場を自分と比較しないということと、治療過程を詳しく報告するということです。

「相手の立場を自分と比較しない」とは

Fotolia_67641550_XS例えば妻側が採精を嫌がる夫に
「それくらいやってよ。私なんて毎回もっと恥ずかしい思いをしたり痛い思いをして治療しているのだから!」
とか、夫側が妻に
「治療といっても基本的には家にいられるのだから愚痴ばかり言うな!俺なんて社会に出て毎日働いているのだからお前よりずっと疲れるんだ」
など、パートナーと自分を比較して自分の方が大変だと主張する発言です。

誰でも立場や状況において辛いことはあり、本当のところは自分がその立場になってみなければわからないのです。
どちらが辛いのかを言い出すと水掛け論になり、夫婦不和を助長させます。比較しての主張は絶対に避けなければいけない言葉です。

「治療過程を詳しく報告する」とは

病院に行ってきたという言葉だけでは共有は難しいです。「今日は○○をするために病院に行ってこんな治療をしてきた。
この治療は○分くらいかかってとても痛かったよ」などと詳細に報告することです。

自分が体験した状況が相手の頭に浮かぶように話すと感情の共感をしてもらいやすいのです。
夫が忙しい家庭の妻が、治療日記を詳細に書いて夫に時間のある時に目を通してもらっていたら、夫側が治療に積極的に協力してくれたという事例もあります。

この「感情の共有化」は不妊治療だけでなく夫婦が円満にやっていく秘訣でもあります。

不妊治療は「言わなくてもわかって欲しい」ではなく「言ってわかってもらう」の精神が大切です。夫婦で協力し合って治療を乗り越えていきましょう。

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